差し出された薔薇の花を あなたじゃないわ とへし折って 液晶画面の向こう側 古代生物に夢をみる べつに届かないものが欲しいんじゃない ただ私は私でしかないのに 目の前に トリケラトプスがいないだけのこと
どっちに転んでもどうせ辛いなら 失うものは少ない方がいい 声に出しても出さなくても同じこと なら辛くなるのは僕だけでいい そう言って蓋をして鍵を閉めて いくつもいくつも飲み込んだ 少しずつ重くなる胃袋は 思考と両足の動きを鈍くした これで良かったなんて言えないけど じゃあどうしろって言うんだろ 何を言っても言い訳にしかならなくて 解決する気力も体力もなかったから ひとまず自分のせいにして また一つ飲み込んだ 恵まれてるよ 逃げ出したくなるほどに
捨てきれねえ 捨てきれねえ 断ち切ったはずのアイデンティティに根が生えた 心と記憶の奥底に 知らない間に根付いていた 変わらなきゃ と思うのは 変わりたくないからで 変わりたくはないけど 置いて行かれるのも嫌だから
内省と吸収とアウトプット 誰かの吐露を 自分の声に 自問自答と自己解決 誰かの言葉で 自分の声を聞く 似ている人は どうしたって 引き寄せられる
真夏の蒼天 音のない飛行機曇 光に踊るカーテン フェンス越しの街並み 誰もしらない 美しいもの 僕しかしらない 美しいもの 秋の星空 理科室の落書き 水溜りとコスモス 上向きの蛇口 水飛沫 誰も見れない 美しいもの 僕しか見れない 美しいもの 白い階段 最上階 見上げた青空 ひとりぼっち 逆光 逆光 逆光
右も左も女と男。前も後ろも男か女。 そうか、私は人間じゃないんだ。
落ちてくるまぶたに 逆らわないのは ぐちゃぐちゃ煩いあのひとたちに 逆らいたいからよ はやくオトナになりたい とか 考えても仕方のないことばかり とりとめもなく紡いで 紡いで 綺麗なままの花束を抱えて 歩いてゆくのは 苦しいことかしら 飛行機雲を指でなぞる まっさらな空を まるで 自分だけのモノにしたみたいな はらり ため息がひとつ