シューズショップにて
「どうぞ、ご覧くださ〜い」
「すみません。このデザインでサイズありますか?」
「あー、そちらは展示品のみになりますね。サイズおいくつですか?」
「26センチなんですけど」
「じゃあ中敷き入れれば大丈夫ですよ」
「30センチはちょっと……大きいかな」
「そんなことないですよ。わたしがいま履いてる靴なんかメンズで32センチなんだけど、中敷き30枚入れて調整してるから。それに少し大きめのほうが足長に見えるよ」
「ジョギングに使うので」
「いま年いくつなの?」
「14歳ですけど」
「14歳なんて成長期なんだからまだまだ大きくなるって」
「……30センチは、どうかな」
「似たようなデザインだったらサッカースパイクがあるけど」
「サッカースパイクでジョギングはきびしいですよ」
「サッカースパイクのほうがむしろ速く走れそうじゃないあはははは」
「いやでも」
「うん、ちょっと待ってね。在庫もしかしたら他店にあるかもしれないから問い合わせてみる」
「すぐ欲しいんですよね」
「大丈夫、隣の店だから」
「あ、隣も系列店なんですか?」
「一切関わりないけど」
「それはさすがに申し訳ないからいいですよ。なんなら自分で行くんで」
「乗りかかった船だもの。それにわたし、お客様への愛があるから」
「それはありがたいですけど」
「もしかしたら奥にあるかもしれないから探してみるね。……ごめんあったあった。少々汚れありだけど履いてみて」
「……サイズは、ぴったりだけど。なんかちょっと湿ってませんか?」
「さっきまで店長が履いてたやつだから」
「隣の店行きます」