伝ワレ コノ思イ コノ感情 コノ声 伝ワレ 祈ッテモ 届カナイ 叫ンデモ 届カナイ 声ニ出シテモ 届カナイ 伝ワレ 伝ワレ ナゼ 伝ワラナイ 嗚呼 ソウカ 簡単ナ コトダッタ 「おはよう」 柔らかな声と日差しに包まれ、なんだかくすぐった。でも、そっと口を開いてはにかむように下を向いた。久しぶりのことで、声帯の反応も悪いのだろう。言いたいことはたくさんあるのに、声にすることは難しい。小さな声で何度か音を出す。耳の下がツンと痛くなった。そんなことすらも、なんだかうれしい。 よし、今なら言える。きっと。 呼吸の調子を整え、そっと口から温かい春の空気を吸った。 「おはよう」
秋は 夏と冬の境の ほんのわずかな時間 気づかない人もいるほど 夏に 冬に 同化している 夏の色と 冬の色に グラデーションをかけたなら 間のほんのわずかな色の薄い数ミリの空間を 秋と呼ぶだろう 夏の歌と 冬の歌に かき消された けれど 確かに存在する ほんのわずかに聞こえる低音弦楽器で演奏されているであろう音楽を 秋ノ唄と呼ぶ 少なくとも 私は。 秋が好きな 私が。
この世には、見えない「空気」というものがある。人々に言わせると、「空気」は読むものらしい。 「常識」を知らない人には、「空気」を読む能力がないそうだ。「空気」を読むことができないと、「普通」から外される。そうなってしまうと、もう元には戻れない。「普通」の人と「普通でない」人の間には、こちらも見えない壁があり、その壁は想像を絶するほど高く、乗り越えることは不可能なのだ。 でも、その壁を難なく乗り越えた人を、僕は一人だけ知っている。その人は、目的のためなら手段を選ばず、時には誰かを助ける、不思議な女性だった。 「それは、ないと思うんですが」 ホームルームのとき、先生が出した意見は満場一致で賛成に…なるところだった。僕以外の全員が賛成の手を挙げる中、僕の言葉は嫌に良く響いた。 みんなの顔が、「空気を読め」と言っていた。 「茉島ぁ、なんでそう思う」 担任の言葉に、何人かがコクコクと頷く。 「いくら何でも、それは…」 僕は机に突っ伏して泣いている宮村をチラリと見た。 「それは、宮村がかわいそうですよ」 言い終わらないうちに、チャイムが残酷なほど高らかに鳴り響いた。 先生はガタッと立ち上がった。 「多数決で、宮村は部活動今学期停止に決まった。異論を唱える者は、挙手をするように」 僕が手を挙げようとしたとき、タッチの差で後ろの席の松宮梨沙が立ち上がった。 「先生、私も茉島君と同じ意見です。宮村ちゃん、かわいそうですよ」 先生は渋い顔で何も言わずに教室を後にした。
だれか 時間のたたない空間を 作ってはくれないだろうか 怖いんだ 大人になるのが 恐いんだ 今の幸せが終わるのが こわいんだ この幸せの次は、とてつもない悪夢が待っているような気がして 切ないんだ この日が終わるのが 刹那いんだ いつかは君と別れなければいけないから せつないんだ 何が切ないのか、 何が怖いのか、 何が不安なのか、 何もわからないから。
親:「おい、勉強したか?」 ○○:「さっきも聞いてたよ、その質問。」 親:「したかどうか聞いてるんだ。」 ○○:「だからしたって。」 親:「だからってなんだ。『しました』でいいだろ。」 ○○:「はい、しましたしました。」 親:「返事は一回って習わなかったのか?」 ○○:「し・ま・し・た・よ」 親:「なんだその口の聞き方は。それが目上の人に対する言葉か」 ○○:「なに、目上って。」 親:「俺はお前より年上で、お前は少しは尊敬しなければいけない」 ○○:「は?父さんを尊敬?なんで?」 親:「お前は俺を尊敬してないのか。親は敬うものだ。」 ○○:「でも父さんは敬われる人じゃないと思う」 親:「……どういう意味だ」 ○○:「敬うべき人は、すばらしい、手本にすべき人のことなんだよ。『習わなかったのか?』」 親:「………」
世界は、『不公平』であふれてる。と、私は思う。
海 祭り 初恋 プール 小説 青春 ああ そらへ そらへ そらへ そらへ と ん で い け
鳴りやまない あの言葉が あの一行が あの文字が。 A,本 鳴りやまない あの歓声 あの拍手 あのイントロ。 A,ライブ 鳴りやまない 花火の音 下駄の音 景品が倒れる音。 A,夏祭り 鳴りやまない グラウンドをかける音 体育館に響くボールの音 外にいても聞こえる合奏。 A,部活 鳴りやまない 君だけの着信音 LINEの着信音 君の声 体育館シューズの擦れる音 胸の鼓動 どうしよう 鳴りやまない 君の、きみの、キミの……… 全てが。 A,恋 わたしの夏休み
記者:○○さん、今回の事件、どう思われますか? ○○:知りません 記者:友人の××さんが、行方不明なんですよね? ○○:はい、そうですけど? 記者:警察は、殺人も視野に入れているようですが? ○○:………何が言いたいんですか 記者:失礼しました……では、今の心境を。 ○○:怖い世の中ですね 記者:それは、殺人のことですか? あなたも関係しているんですか? ○○:どうしてそうなるんですか。 記者:では、「怖い世の中」とは? ○○:まさか、わからないんですか 記者:………? ○○:あなた方のことですよ。 記者:私たち…ですか? ○○:メディアという殺人鬼、おそろしいですね あなたもそう思いませんか? 記者:………
20XX年、私は連休が来るたびに様々な星へ出かけます。詳しいことは教えられませんが金銭的には少々裕福な人種なので、自家用の宇宙船を持っています。あの日も、日帰りの軽い旅行の気でその星へ向かいました。その星は「灯星」と書いて「いのちぼし」と読むのだそうです。その名前のせいか知名度は高いのですが、ただ荒れ地が広がっているだけということから実際に足を運ぶ者は数えるほどでした。少し星マニアと化している私は、距離もそう遠くはなかったので三連休を使って灯星へ出かけることにしました。三連休初日、いつもより早起きした私は、宇宙船に乗り込み、自動運転機能を設定すると、早速地球を出発しました。 星につくと、確かに噂の通り何もなく、荒れた星でした。人影もないので私は、(ひとりじめか)と一人心躍らせていました。しかしその直後、背後からガサッという落ち葉を踏む音が聞こえました。ああ、誰かいたのかと思い、さっき心躍っていた自分が恥ずかしくなりました。振り返るとそこにいたのはとても痩せていてひょろりと背の高い男性でした。 「あ、どうも。」 男性があいさつをしてきたのでこちらも慌てて「どうも。日本の方ですか。」と返しました。その人は「ええ、3、4年前からここにいるのです。」と言い、この星のことを教えてくれました。どうやらこの星にはこの人だけが住んでいるらしく、国から食料などが送られてくるそうです。 「実は私がここに長居しているのは、私が作り出してしまったものを消すためなのです。」 ーつづくー