LOST MEMORIES CⅨⅩⅨ
チャールズが激しくむせている。涼しい顔をしてカップに口をつけていたチャールズが。
「あの、チャールズ?」
「なぜ、」
恨みがましくチャールズに、
「なぜそこへ帰着するんです。」
と睨み付けられる。
「旦那さまも奥さまも、幼少期からの許嫁として、仲睦まじく過ごしてこられた仲です。その一人娘がそんなことを言うものではありません。」
怒られた。初めてかもしれない。確かに真っ当であるのだが。
「お二方は、大変な恩人なんです。お嬢さまであれ、先の言葉は私が許しません。」
チャールズは両親に恩があると言った。
それが何かわかれば、チャールズとの関係性が紐解けるのでは。そう思う。
そういえば英人は、姉はいないと言っていた。エルーナと英人は同一人物だと思ったがそれはどうだろう。エルーナには姉と呼べる存在がいたように思うのだけれど。
何らかの同じ現象が起こっていそうな気がしてならない瑛瑠は、いつの間にか思い詰めた表情をしていたらしかった。