くだものを食べる。 よくうれたみずみずしいのを。 雪みたいにつめたくひやして。 まるごといってもいいし、切ったのをだれかと分けあうのもいい。 味はどんなかしら。 あまいかしら、すっぱいかしら、それともそのあいだかしら。 口あたりはどうかしら。 シャクッっとしているかしら、とろんとしているかしら、ぷちぷちしているかしら。 もうそろそろひえたころ。 さあ、食べましょう。
夢からさめたら いちばんに熱いシャワーをあびる それでぬけだせる
黒に塗りつぶされた世界に住む僕 白で覆われた世界に住む君 絶対に許されない恋に落ちた 悪魔の僕と天使の君
体に吹きつける冷たい風 よみがえる記憶 突然家に響き渡る父の怒声 父が母を殴る鈍い音 驚いた弟の泣き声 ドアが乱暴に閉まる 母のすすり泣く声 遠くなる母と弟の背中 肩に置かれた父の手の恐怖 恋人に初めてもらったものなの 嬉しそうに満面の笑顔で言った君 軽い落胆 淡い初恋と失恋 父の充血して据わった目 うなる拳 頰に痛みがはしる クラスメイトの好奇の目と偽物の同情 モノクロの景色に夕日がさす 地面が宙を舞い 空が落ちる 落下
もしも人間が存在しなかったら もしも人間がこんなに進化していなかったら この地球はどうなっていたんだろう
痛いくらいに突き刺さる 冷たくて澄んだ夜の空気 指先は切れそうに冷えて 吐く息は真っ白に煙る 真っ黒な空には おかしいくらいに光る つるんとしたゼリーみたいな月 ぽつぽつと瞬いているのは 目をこらしてやっと見えるほどに 小さく輝く星と飛行機 透明な匂いのする冬の夜
君が行ってしまう夢をみた 目覚めたときに散らばった夢のかけらは 恐怖の破片に姿を変えて 僕の心を突き刺す 破片の刺さった心から滲み出た血は 色を変えた涙になって僕の頰を音もなくつたう そんな朝を何度も繰り返すたび僕は空っぽになっていく 言葉は僕のなかから消えてなくなり 負の感情が僕を蝕む なにも感じられない なにもできない それでも時は過ぎ去り移ろっていく そして思い出す 夢ではなく、君が行ってしまったことを
犬系彼女×猫系彼氏 「ねえ、俺のこと好き?」 『ううん、すきじゃない』 「え…」 『すきじゃないよ、だいすき‼︎』 「…ちゅーしていい?」 猫系彼女×犬系彼氏 「ねえねえ、おれのことすき?すき?」 『は?好きなわけないじゃん』 「またまたぁ、もー照れ屋さんなんだから〜」 『…』 「あれ?なんで赤くなってるの?やっぱりおれのことすきなんじゃん!可愛いなぁもう」 『…』 「いたいいたい!なんで殴んのさ!」
夢みたいに眩しい光の中で飛んだ鳥が 次の瞬間目の前に落ちる 落ちた鳥の体の向こうには 風にそよぐ草原が広がる その真ん中にぽつんと建つ塔は 空に吸い込まれててっぺんが見えない 進むことをためらう僕の後ろには 水滴のひとしずくもない砂漠が 地平線のその先まで 前にも後ろにも歩き出せないそのままで 僕はいつまでも目をこらして 塔のてっぺんを探している
艶やかで真っ赤な唇 気の強そうな大きな瞳 つんと気取ったように上をむいた鼻 真っ白な肌 小さな顔 細くて長い手足 スタイル抜群の体 自由で気ままな猫みたいな性格 たまにこぼれる極上の笑顔 きみは魔女 とびっきり可愛くて美人ですてきな僕の恋人