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あなたの愛に包まれながら

身体が動かなくなってから、もうどれくらいが経ちましたかねぇ。
私が起き上がらなくなったあの日、ご主人たちはその瞳からたくさんの涙をこぼしながら私を見つめていらっしゃいました。ご主人たちの使う言葉は、私には理解できませんが、きっと、私が消えてしまうと心配されたのでしょうねぇ。私もすぐにでも消えてしまうものだと思っていましたよ。
けれど、ついに、ここまで生きることができました。ご主人と、ご主人のつがい──パートナーと言うのですか?その二人の匂いが混ざり合った、新たな命がこの家にやってくるまで。その子の匂いを感じることができて、ホッとしましたよ。

さて、ご主人。

そろそろ、時間のようです。

あぁ、ご主人、そんなに泣かないでください。涙の匂いは塩辛くていけません。私まで開かないはずの目から雫が溢れそうではないですか。

あぁ、ご主人。
あなたは今、その体温で私を包んでくださっているのですね。
わかりますよ。ご主人のことですから。それに、ご主人が私のことを可愛がってくれる時には、いつもとは違う匂いがするのですよ。今日はもう──今までで一番の、私の拙い言葉では表せないような匂いが、しています。

あぁ、ご主人。私は幸せ者です。
ご主人の優しさに包まれ、ご主人の愛の匂いを感じながら、向こうへ逝くことができるのですから。

あぁ、でも、もし、神様がいるのならば。
あと少し、あと、ほんの少しでいいのです。この幸せな体験を、私の魂に染み渡らせるだけの時間があればいいのです。
あと、ほんの少しだけ。

このままでいてもいいですか?

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No music No life #8 アディショナルメモリー

結月視点

翌日、時雨ちゃんがあまりにも喋らなかったので、話しかけてみた。すると、突然、怒り出した。「なんで!なんで、涼香が死ななきゃいけないの!なんで、結月じゃないの!」あまりにも突然だったのと、目も、表情も、怒ってはいたが、
いつだって、時雨ちゃんの瞳の奥にあったはずの優しさは、なかった。まるで、機械のように、取ってつけたような表情をしていた。
僕はそんな時雨ちゃんを、突っ立って見ていた。そして、同様に、時雨ちゃんの異変に気づいて美月と玲が時雨ちゃんをなだめていた。すると、突然、時雨ちゃんは倒れた。その後、医務室に運ばれた。
僕達は、時雨ちゃんについて話していた。
「何があったんですかね?時雨さん。」
不安そうに、美月が言った。
「でも、一つ言えるのは、結月さんに怒っていたということですね。」美月に続けて玲が言う。

「でも、時雨ちゃんは怒ってなかったよ。」
僕のその言葉に二人は目を見開いた。

【続く】

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私、イカとにゃんこは先週金曜日、無事に小学校を卒業しました!ここまで頑張ってこられたのは、みなさんのおかげです!ありがとうございます!そして、これからもよろしくお願いします!


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ライカ/yamada

瞬間で過ぎてった春や夏や秋、どれも美しかった。
いっその事こんな僕をこのまま連れてって欲しい。

冬を待っている君がとても可愛らしくて、
思わず抱きしめそうになった。
風でなびく赤いマフラー。
寒さで赤くなった頬。
それを見て、初めて出会った頃にライカで写した君の顔を思い出した。

僕は君に「愛してる」と伝えたかった。
ずっと君のそばにいてしまう僕は弱い奴だ。
このまま逝ってしまえたらよかったのに…
あの時泣いてた君の涙さえ愛おしくて、
まいっちゃうな。

もう冬が終わる。
3秒前に泣きやんだ君は、
「春が来る」
と言った。
そう言う君は春のように優しくて、
その優しさに僕は救われてた。
そして、それはきっと恋だと気付いたんだ。
遅すぎるよね。今更だよな…
夢の中で君に会えたら何て言おうかな。

今、泣いている君を抱きしめる事が出来たなら。
……わかってるよ。そんなこと。

最低な僕は君にどれだけの愛を届けられただろう。
最愛の君に愛を伝えられたなら、よかったよ。
僕に悔いはない。


さようならさ。




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キセちゃん!リクエストありがとう!
期待に応えられたか分からないけど、頑張ってみたよー!٩( 'ω' )و
初めて聞いたけど、いい曲だねえー…ホントに…
聞いてみて私が感じたように書いてみた!
またリクエスト待ってるねー!ヾ(´︶`♡)ノ
いつもありがとうね!‪

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これが最初で最後の呪い。(※重いです)

そろそろ君の視界から僕がいなくなったころだろうから、正直に話そうか。

君にフラれたあの時、僕は君を呪いたくてしかたがなかったのだよ。地べたに頭を擦り付けて僕に懇願しなきゃならないくらいに後悔させてやろうと思ったさ。

けれど、それをするためには君を欺かなきゃならないだろう? だから、僕は君の前では女の子らしく寂しがっているふりをしていたのさ。

寂しがっているふり、だったのさ。
けれど、それはいつしか、僕の本当になってしまってね。

僕の寂しさが癒えた頃には、君はとっくのとうに他の女の子といちゃついていたよ。

あぁ、それはもう失望したさ。絶望ではなく、失望だね。君という人間に呆れ果てたさ。
そして同時に僕という人間に呆れ果てたさ。
いや、もしかしたら僕は人間じゃないのかもな。

だって、こんなに君のことしか見えていないだなんて、おかしいだろう?

だから、君に最後の贈り物をしよう。これは、僕が君に送る最後の贈り物で、約束で、そして、最初で最後の呪いだ。呪縛、と言ったほうが正しいかもね。

君に、もう一度この言葉を贈ろう。

『君に好きな人ができようと、彼女がいようと、僕には関係ない。僕はバカの一つ覚えみたいに君のことしか見えちゃいない。けれど、この自分勝手な気持ちを君に押し付ける気はないから安心してくれ』


『後悔、するなよ』

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帝国少女/R Sound Design

「はぁ…」
もう何回目だろう。
何回目か分からないため息をつく。
東京の街の雑踏の中息衝いた。

ふらふらと歩く。
ふと横を見た時に路地裏に繋がる道を見つけた。
ここなら誰にも邪魔されない…
私は彷徨って行き着いた路地裏の闇夜に溶けた。

あまり街の灯りがあたらない場所だった。
ここだけ違う街のようだ。
どうせ何も起きることのないこの夜だ。
私だけ特別になったっていいだろう。
今日ぐらいは。
朽ちゆく身体と心を連れて1人当てなく漂ってゆく。
例えこの都市を這い回るゾンビになったとしても、どんなにどんなに夜に堕ちても、
明日の光が世界を染めてく。

あなたは今頃どうしているのかしら。
違う人とあの部屋で夢を見ているのでしょうね。
私の身体と心を傷つけた罪を償って欲しい。
本心はこれだけど…もういいや…
最後に1回泣かせてね…

「…あっ…」
泣き疲れてぐったりしていた。
そこに1枚の花びらが落ちてきた。
桜だった。
夜桜が綺麗に咲いている。

こんなにこんなに愛した場所よ。
何度も何度も歩いた道よ。
私の身体と心の傷、あなたの笑顔も声も全部
ここに置いてゆくわ。

さよなら。


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fLactorさん!
リクエストありがとうございました!
あまり上手に出来なかったんですがいかがでしたか?
またのリクエストお待ちしております!(´ω`*)