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1

きみは友達

今日は土曜日。
私は友達のレイと遊ぶ約束をしていた。

「ねえ、この服似合ってる?」
レイが小さな顔を綻ばせて私に訊いてくる。
スカートを翻し、華麗にくるりとターン。長い黒髪が揺れうごく。
「もちろん。すっごく可愛い」
私は素直に感想を述べた。
「え〜、そう? ……嬉しい。ありがと」
少し目線を下に向けるレイ。桜色の唇は小さく笑み、頬には朱が刺している。
すぐ恥ずかしがって赤くなるのがレイの弱点だ。
多くの男子はこの赤ら顔にやられる。

あー、それにしても可愛いなぁと心の中で呟く。季節は夏であり、白い肌がだいぶ晒されている。
ちょっとくらっときそう。

倒れるようにして、私はレイを正面から抱きしめた。
レイの先程の恥ずかしげだった瞳が、困惑のそれへと変わる。戸惑ったように口を小さく開け、手は徐々に握り込まれてゆく。
「……。……どうしたの?」
「んー。ちょっとくらっときちゃって……?」
言いながらレイの髪をなでた。
一瞬何かを悟ったように目を見開いて先ほどとはまた違った赤で頬が染まってゆくレイを、私は静かに見つめる。私しか知らない顔。私だけが知っている顔。
愛おしい。レイの、何もかも。
私はレイを二度と離したくなくて、もう一度ぎゅっと抱きしめた。

「……私達、友だち……だよね……?」
絞り出してやっと出たようなか弱い声でレイは私に尋ねる。私は拘束を解き、レイの瞳をまっすぐに見つめながら言った。
にっこり。笑んで。


 そう、きみは友達。

……今は、まだ。


>>男女同士もさることながら、こういう恋愛も個人的に好きです。

5

なぞなぞリスペクト

「遅くなりました!!」
 観音寺隼人は、車から慌てて降りると、先に待っていた先輩刑事に頭を下げた。五十嵐剛。規律にはめっぽう厳しいので有名だ。
「遅い!もう七分も遅刻だぞ!」
「すっ、すいません!」
「…まあいい。事情聴取だ。いくぞ」
 凄まじく早い五十嵐の徒歩に、観音寺は必死でついていく。
 今回のガイシャは、上殿敬子、四二歳主婦。場所は自宅のリビングで、何者かによって後頭部を殴られた後に失血死。争った形跡はなく、現場からは犯人を特定できるものは何も見つからなかった。死亡推定時刻は、昨日一月一三日午後7時頃。目撃証言もなく、捜査は非常に難航していた。
 今回事情聴取を取るのは、ガイシャの夫である上殿凛太郎、四五歳会社員。近隣の住民によると、最近あまり中は良さそうには見えなかった、とのこと。

 以下が事情聴取の様子だ。
「上殿さん。あなたは昨日の午後七時頃、どこにいらっしゃいましたか」
「刑事さん、まさか私を疑っているんですか?!」
「いえ、あの、この質問は皆さんにお答えいただいているものでして…」
「…ふん。まあ、良いですけどね。じゃあお答えしますよ。私は確か、まだその時空の上でした」
「…空の上、ですか」
「ええ。私はここ二週間休暇をとってオーストラリアに旅行に行っておりまして、昨日の夜十時にやっと帰国したんですよ。そしたら、まさか妻が、あんな目にあっているなんて…」
「そうでしたか。それはお気の毒に。ところで、オーストラリアでは何をなさっていたんですか?」
「別に、観光ですよ。色んな所を見て回りました」
「良いですねー、オーストラリア。僕もいつか行ってみたいものです。何が一番良かったですか?」
「やっぱり海ですかね。一月なんでちょっと寒かったですけど、夕日の沈んでいく様は圧巻でしたよ」
「そうでしたか。それでは一応確認を取らせていただきます。ご利用になられた旅行会社はどちらでしたか」……

 その後、旅行会社などに問い合わせてみたが、上殿氏がオーストラリアに行っていたことは確からしい。これは難しい事件になるぞ…。そんな話を五十嵐刑事にすると、
「おい、何をぼさっとしているんだ。どう考えてもその凛太郎ってやつが怪しいじゃないか」