急、会いたいの衝動に駆られて 糾、口からこぼれる思いを届けたくて 窮、苦しくなるようなごちゃ混ぜの気持ち丸ごと 吸、ぜーんぶぐっと飲み干して 九、数えて会いに行く
なぜか鬱というものは 不意に親しげに現れて 好き勝手心を貪っては 気づけば溶けて無へと帰す まるであの甘いりんご飴だ まるであの夏の恋みたいだ
名も知らぬ駅を通り過ぎて 着いてくるのは満月だけ あの赤い屋根の家に置いてきた哀愁、 夢の園発 下町行き 黒に浮かぶ練色、あれは灯 ここまでは連なる田園の残り香 気取った言葉に訛りを隠して 後悔経由 都会行き 雑踏と喧騒と眩しいネオン 煤けた空も、早歩きにも、 いつまで経っても慣れなくて でも、私はここに、ここから1人で 田舎者の歌うブルース まもなく終点、東京
図書室後方ずらっと並ぶ、 しけた古本のくすんだ匂い。 コインランドリー前を通って、 きれいでかわいいしゃぼんの香り。 あの子がくれた甘いひとくち、 キャラメル薫る銀の紙。 鼻先かすめるあの香が薫る、 花咲き匂ふ帰り道。
何処へ? 前へ。 遠くへ。 向こう側へ。 夢を叶える場所へ。 挫折を味わう場所へ。 愛を与える世界へ。 愛を懇願する世界へ。 もう戻れない毎日へ。 戻りたいと願う毎日へ。 青々とした17は 昨日の中に閉じ込めた 苦楽も何も 分からない ハリボテのまま 飛び込んだ 期待してるよ、18歳
ぱらぱら、ぱらぱら、雨の音。 なんども、なんども、落ちてきて、 まどをやさしく、たたく音。 どこかかなしく、なでる音。 ざあざあ、ざあざあ、雨の音。 ずーっと、ずーっと、打ちつけて、 ひとりぼっちで、むせぶ音。 ひとりたのしく、おどる音。
ブルーな気分だって、澄み切った空と同じ色をしてるじゃないか
弦が切れた 赤いギターの弦が切れた とびっきり大好きな自慢のFender あのフレーズが弾きたくて 指が削れても練習した その元凶の1弦が切れた 弦を買った 銀のしなやかな弦を買った もうあの音は出なかった
きれいなものが好き、 きたないものは嫌い じゃあ私はどっち?
すでに真っ黒になったスケジュール帳に、 新たに予定を書き加える。 全部が楽しくて、全部やりたくて、全部好きだから、 全部嫌いになって逃げたくなってしまう。 ふと、顔を上げる。 電気スタンドの遠く奥に、白鳥たちの鳴く声。 北を目指して、どこまでも、真っ直ぐに飛んでいく。 僕も白鳥になりたいと、強く願った。
いつから僕の右手は スマホを触り始めたんだろう "1年2組" 自分のなまえ を 大きく書いた2Bの鉛筆 オクターブが届くようになったピアノの白鍵 友達と騒いだカラオケのマイク こんなにたくさん思い出を 持ってるはずの僕の右手は 今じゃスマホタイピング特化型 これからは僕の右手じゃなくて SDカードが思い出を溜めてく あなたの肌の温もりだって 僕の右手で感じることなく SDカードに溜められてく
真っ白なノートを開いて 「何を書こうか」なんて 考えてる 君は 空を見上げて 「昼寝でもしたいなあ」なんて 微笑んだ
不意に訪れる感情の波 その波に時に流され、時に抗い、時に溺れながらも波の中を歩いていく 波が冷たく気持ちいい日もあれば、大荒れの涙を流す時もある 波の終わりってどこにあるんだろう 今は辛いことしか見つけられない それでも今日も、波の、中を、歩く
未来の鍵を一緒に探してくれてありがとう。 本気でぶつかってくれてありがとう。 私たち生徒は、「とおやまだいすけ」じゃなくて「とおやまだいすき」なんです。
毎日人ごみの中でふらふらさまよってる 僕は何者なんだろう 「大勢の中の一人」ではなく 「一人一人の集団」として見られたいと願うのは 僕の勝手なエゴなのか 今日も人ごみに紛れて 自分とはだれなのか 自分に問い続ける