校庭で産まれたつむじ風が 袖まくった産毛を逆なでる 25m向こうの君に 聞こえるか聞こえないか 無意識に見上げた太陽が 眩しくてくしゃみを誘発した 25m向こうに君は 居るのか居ないのか どろどろの緑が底なしで 浮かぶテニスボールと白昼夢 25m向こうの季節に 会える日をずっと待っている
化石になった君は利口だ ここに見るべきものなんてない 万年床で夢をみる 布団と毛布とシーツの地層 失った瞳の輝き 丸い虹のニュース どこいった幸せ 明日も更新最高気温 哀しみ以外を知りたいもんだ 謎なんだ 謎なんだ ああ君、重症だね
濡れた身体 あなたの声に痺れるが如し 毛先から逃げる水玉 アスファルトにくだける 夜空にかかる色のない虹 眠る街 24時 エンドロールの後ろのふたり 電気回路 これ見よがし
あるじをなくしたカイト 月をめざして真空 ネオン街道の片隅 泥食って、寝て、起きて 電気うなぎの夢をみる
手応えのない日常 折れたオールで水を切る日々 死んだ目に目薬をさして 合わせたピントで何を見ようとした 何も見えやしなかった ある日大きな岩を手に入れて 僕は小舟を作った 目指す場所などないというのに 岸辺の花が何度か色を変えた頃 朝靄の水面に舟を放った 風に泳ぐ花びらは笑うだろう かけた歳月は泡沫となるだろう もういいのかい もういいだろう 変わり果てた掌をみて 咳みたいに笑った
雨粒に閉じこめられた街並み 朝顔の手の中で眠る 暗中模索のペトリコール 跳びこえた水溜り 掴まれた足に成す術もなく 固唾をのんでいる夜霧に あとは身を委ねて眠るまで
2時半の部屋はまるで他人行儀で ろくに慰めてもくれない 毛布にのまれて消えたヘアピン こんな自分が可笑しいな 手拍子で迎えいれるよ 天井が鳴って 壁が笑って ほらドアの前だれかが立ってる
喉をすぎる電気ショックに 次の言葉を奪われて ずっとはじめましてみたいな重力が わたしだけ月面を歩かせてる
傘のうらに貼りついた宇宙 滴った流星にすくめた肩 一瞬ひるがえった黒髪は さながら青春ブラックホール
息継ぎをわすれた渡り鳥 青さに溺れて 空の藻屑と消えてった ビルの隙間を吹き抜けた強い風 羽根が舞うと思い出す あの日の君の表情に 返すべき言葉は なんだったのか