侍が佇んでいる 水溜りに沈んだ町を見下ろして 洗い流しすぎた空気は 君らの嘘をよく暴く やがて雨が上がり ベランダの俺と目があった
遠くの空が黒いのを見て これから雨がふるよと自慢気な君 あそこのビルが低くなって 夕方が空を取り戻した 反響する金属音 自慢気な君は目を細めて
部屋に漂うインソムニア 時計の針は悪魔の尻尾 おいでよ、おいで 夢ではない幻の世界 つけっぱなしのテレビの向こう カラーバーの扉を叩けば そこに広がる トゥモローネバーノウズ
ビルの向こうで 次の季節が顔をのぞかせて ガラスの中のビー玉が疼きだす からっぽな日記 交わらない君の日々 うんざりしてた日常も 今さらこんな愛おしい よく磨かれた太陽が 正しく周りだすのを待っている
せわしない季節感 しどろもどろな気象予報士 一文字雲 タイヨウを射抜いて 明日は雨よ はらりはらりと山へ堕ちて 明日は雨 しったこっちゃない海坊主
紐を二回ひいて 夜のオレンジ まばたき三つで 夢の入り口 手の平の灯り ぱたりと落ちて 目が覚めれば 夢の余韻、パンの匂い
帰路につく テールランプは赤血球 滞りなく歩道橋の下 西へ東へ流れてく 私はというと 脈打つ小指の糸をたぐって 君を引き止める言葉を探すけど 結局、絞り出したのは だらしのない またあした
小腹のすいた夜の帳が パクついた満月は ああ欠けちった、欠けちった 明日がくるなと願う男が 睨んだ三日月は 砕け散った、なくなった 灯りをなくした風来坊 拾った稲妻 小脇に抱えて
500mlの水の向こうで キラキラと歪む君の背中 見つめすぎてゾッとした背筋 振り向いた君と目があったなら それが僕のテレパシー
電柱のわきでつむじ風 ツノの生えた夜の端っこ 遮断機のメロディにあわせて 赤 黒 赤 黒 微笑むダンサー in the dark
青空に滲んだへたくそな虹 見上げた子供たちの笑顔の先 見つけてほしそうにこちらを見ている 旅客機が横切ってイラついたスピカ 夜更けまで待てよと午後の太陽
ベランダに漏れる灯りが ひとつまたひとつと消えてゆく 汽水域の24時 遠くの工場地帯咳こむ星たち 常夜灯の下にはラブソングみたいな二人 頬を赤らめた月と囃し立てる夜光虫 さあすべてを忘れてムになろう 向かい合う闇の先 水を切る音に耳をすまして
お揃いの服 裾が踊る 晴天の彼女たち 束ねた窮屈は新しい門出 ルーキー冥利に酔いしれよ そして歌うように日々をゆけ
潮止まりの街 なまぬるい風に乗って ビニール袋が空に舞う 青と白のコントラスト あれはそう ニューヨークの幻
恐怖する青さ 揺れうごく猜疑心 新しい風になびく黒髪 さながら希望をはねる鎌のごとく
もしもの話で気を引く君に もしもの話で答える僕に もしもの世界はどうでるか かけがえのない君との時間に 水溶き片栗を注ぎたい
しめった終電の音 燃え尽きた羽虫の音 あしたはきっと笑えるよ 月のフィラメントが切れる音 どこかで聞こえる子守唄
夜の先になにがある 期待した所で靴は濡れるだけ 一番のりの花びらが 春をまたずに流れてく まつげの間に落ちた雨つぶ 頼りない街灯をきらめくものとして
しなやかな指のよに 揺れるカーテンは冬仕舞い 思い出せないCメロは あちらの窓へ吹き抜けた とってつけたよな孤独感 よせばいい よせばいいのに春病