怪物
エンターテイメントほど得体のしれない怪物はいないと思う。ずっと「仲良し」を見せてきたグループがきれいに真っ二つに割れた。彼ら一人一人はどんな思いでファンに最後の別れをしたんだろうか。私たちに届く情報はほんとの思いに何枚も何枚も包装紙を巻いて、中身なんて絶対に見えないように、きれいにきれいに包装されて届く。そんなプレゼントに私たちは歓喜の声を上げ、ときには涙を流す。
ばからしい。そんな作業なんてほんとにばからしい。そこには本物なんてものは存在してない。奥行きのない、薄い画面の中の、薄っぺらい作られた世界。人間関係だってきっと同じ。みんな必死に自分を何枚も紙を重ねて取り繕って、きれいなところだけ見えるようにしている。だから本当なんてない。見えない、怪物。
そんな怪物を、自分が転がされている滑稽さを受け入れるなんてできない。だから私は、私が大好きなエンターテイメントに会いに行くときには、そんな気持ちに蓋をする。いったん忘れる。でもまたこうして、あふれ出してくるときがある。
こんな暗いこと書きながらなんで私はエンターテイメントを必要としているんだろうな。もう意味わからない。こんなこと普段は絶対に文字に起こさない。文字に起こすことは自分で自分のことを遠目で見ているようで苦しいから。これをここに吐き出したらどうなるだろう。この書き込みが、今のこの思いが後で見たらバカみたいに感じるのかもしれない。
私自身が、いちばん怪物かもしれない。