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深海のピエロ

深い深い海の底に
悲しい少女(ピエロ)がいました
少女(ピエロ)はみんなに嫌われて
海の底で眠りました

どうしてだろう
あなたを見ると
胸が苦しくて
辛く当たってしまう
こんなこと
言いたくないのに

海に眠る眠り姫は
沈みながら悔やみました
どうせこの後悔も
眠れば消えてしまうのに
もう一度願いが叶うなら
楽しかったあの頃に
もうあの優しさを
手放したりなんかしないから
殺したりなんかしないから

たくさんの魚たちと
一つになった眠り姫
私たちは海を抜けて
またあなたに巡り合う

あなたと出会っても
もうあなたに触れられない
嬉しいのに
悲しくて
私はもうガラクタ同然

海に眠る眠り姫は
世界と一つになりました
もうあの優しさも
感じることができないのに
もう一度叶うなら
楽しかったあの頃に
もうあの愛を
拒んだりなんかしないから
壊したりなんかしないから

母に会いたい
父に会いたい
でも眠ってしまえば
もう会えない
巡り巡ってあなたと出会い
私たちはまた一つになる

少女(ピエロ)は必死にもがきました
あの頃に戻るために
演じきれなくてもいい
上手く伝えられなくてもいい
もう一度
あなたに会いたくて
海を抜けて
森を抜けて
あなたに会いに行くよ
もうあの優しさを
手放したりなんかしないから
もうあの愛を
拒んだりなんかしないから

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名作が渋滞してる。

「ねえ、本当に不幸なことって、なんだと思う?」
僕は100万回生きた猫に尋ねる。
「そりゃあ、君。愛する人が亡くなる事に決まってるじゃないか」
100万回生きた猫は、本から顔を上げずに答える。
「そうかな?僕はそうは思わない」
星の王子様が割り込んできた。
「大切な人が亡くなったって、空は青くて美しいし、雲は止まらず流れ続ける」
「じゃあ、君は何が不幸な事だと思うんだい?」100万回生きた猫は視線を彼に流した。
「僕は、独りになると感じる事だと思うんだ。ああ、自分は今独りだって思う事。誰でも、生きていれば世界中のどこかに愛してくれる人、想ってくれる人はいるさ。その事に気付かないのが、本当の不幸だと思う」
「なるほどね、それも一理ある。でもね、誰でも愛してくれる人がいるってのは、違うんじゃないかい?」
「そうかなあ、、、」
星の王子様はそれっきり、黙り込んでしまった。
「本当に不幸な事?そんなの決まってるわ」
ずっと黙って話を聞いていたアリスが、おもむろに口を開いた。
「罪を犯すことよ。だって、自分は悪人なんだ、非道な奴なんだ、っていう思いを背負って生きていかなければならないじゃない?自分を否定することが、一番の不幸なのよ」
「なるほどねえ…」
僕は呟く。
「ねえ、言い出しっぺの貴方はどう思うのよ。ピーターパン」
僕はしばらく考えてから言った。
「僕はよくわからないけれど、、、きっと、それは人それぞれなんだよ。でも、みんなに共通していることがある。それは、自分が不幸だと認めてしまうことが一番の不幸だってことさ」

きっとこの討論は終わらない。そのうち、ピーターラビットが小公女につれられてやってくるだろう。そうなったら最後、収拾がつかない。

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サーカス小屋 #空中ブランコのクレオパトラ

「お願いだから、ここにいて」
「ひとりにしないで」
そんなセリフ、もうとっくに聞き飽きた。独りになりたくなくて、「みんな」に入りたいと願う人々は、その境界線に立ち尽くしていた私をマジョリティーに引きずり込み、自分の味方として背後にはり付けた。
 こんなに小さなサーカス小屋の中でも、格差は激しい。偉人の名を襲名した者には、絶対的な権利があった。だから、”クレオパトラ”である私もみんなの上に立つべきなのだけど、周囲が、空気が、それを拒んだ。
 私も特に抵抗せず、ゆらりゆらりと流されて、この境界まで来た。私自身も、それを望んでいた。
 中途半端なくらいが、ちょうどいいのだ。

 天井からぶら下がったブランコ。命綱なんかいらない。落ちて死ぬなら、それでいい。私は私の人生を、運命を、そのまま受け入れる。それはきっと、自分自身を肯定することにつながるはずだ。それが例え、絶望を招き、私を不幸に陥れるものだとしても。全部一緒くたに、そっと抱き寄せる。

 小さな小さなサーカス小屋。観客は100人もはいれば満員。でもその中で、私は空を飛べる。上を見上げても、見えるのは薄汚れた天井と、大きな照明機材だけ。私は、ブランコに乗れば、見たことのない海にだって潜れる。それは、とても美しいことだ。

 世界中を飛び回るサーカス小屋。
 街の人を虜にして、熱狂的に狂わせて、私達抜きでは生きられない体にしてから、その地を去る。あれは全部夢だったんじゃないか、と思うくらい突然に、足跡一つ、衣装の糸くず一つ残さず。
 一度行った地には、もう二度と行かない。それが私達の唯一のルールだ。これだけを守れば、あとはなんとかなる。外の世界も、そんなもんだろう。
 なんとかなるものなのだ。