貴方の声を聴くと 暗い夜空にパッと彩やかな花が咲く そんな幻影 いつも見えるの 貴方が纏うきらきらが くるくる舞ってお裾分け 近くて遠いこの不思議な距離 全てが曖昧でそれが心地いい
どんなに真っ直ぐだったって “深い”言葉は存在する 何も婉曲ばかりが文芸じゃない 何も熟語ばかりが語彙じゃない だって、ほら 君がたった今放った あまりにも素直な「好き」は 嗚呼、“海より深い”なんて なんとも在り来りな喩えが こんなにも良く似合う
「私は、ある人を探していてね」 隣に座ってもいい?と目配せをするから、少女は横にずれる。 ありがとうと言うように微笑んだ彼は、続ける。 「もしかしたら、君がそうかも、と思って、思わず声をかけてしまったんだ」
どうせ知らない人だし何を話してもいいや。 そういう気持ちが、少女には生まれていた。 彼の瞳や雰囲気が、少女の言葉を引き出した、ともいえるかもしれない。 「じゃあ、私と少し話そう」 彼は、少しだけ笑ってみせた。
私は たぶん 魔法使いに出会った。 空気が痛いと感じたのは、きっと寒いだけが理由ではない。 何もかも上手くいかず、ほとほと自分に嫌気が差しさえしていたベンチに座る少女。 「こんにちは、お嬢さん」 物語が、始まる。
願い事って言うと叶わないんじゃないっけ 夢は口にした方が叶うって言わない? 夢なんだ あなたに会う夢をみたよ ……夢は話すと正夢にならないよ どうしてちょっとがっかりした声なの ……もう、楽しそうに笑わないでくれ