表示件数
0

〜二人の秘密〜長文すみません!

今日はいつもの窓辺で教科書やノート、ワークを積み上げ、読んでいた。

『おっ、珍しいな(笑)。』
“君も勉強するんだ(笑)。”
二人とも私を見て笑う。
「アルはうるさい。明日からテストなの!やばいでしょ、コレ。」
先生は隣に座る。
『明日は、英語と古典と音楽か。』
「うん。英語は普通の中間テストで、古典はパフォーマンス課題、音楽は普通に授業なの。」
“じゃあ、明日は英語だけ……?”
「いや、古典もテストみたいなものよ。」
そう言うと、アルは隣に座ろうと試みる。
「アル!教科書置いてるでしょ!!座らないで!!」
“じゃあ、教科書、持ってやるから。”
「あぁ〜。それならいいよ。」
アルと私がそう言ったとき、先生がノートを指差す。

『ココはこっちだよ。ほらここの選択問題。』
「えっ、うそ?」
『ココはこうなって、こうなる。』
先生はペンをとり、ノートに書いて説明してくれる。
「危なっ!間違えて覚えるとこだった!」
“他のとこも教えてやろうか?”
「何でアルが言うのよ(笑)。先生、ここもよくわからないから教えて!」

先生は、私に問題の解き方を教えてくれて、アルは、答えを見ながら丸付けをしてくれた。
明日からの中間テスト、先生とアルがいればやる気になれる気がした。

0
0

ある日私たちは。No.3

「お~い、何勝手に…。はぁ。…まぁいっか」
「えっ。えっっ!いいの⁉やったあ!!」
う~ん。そういう意味じゃなかったんだけどな~。
私はもう8割諦めている。どうしよ。
でも、私はふと思った。なんでここまで彼女は東京へ行くのか。ここまで喜ぶのか。嫌気が差した。
「ねぇ。なんでそんなに行きたいの?何かあった?」
「え?だからただ学校が面倒くさいだけだよ~」
「そっか」
「それより早く行かない⁉色々大変そうだから早く行っちゃえばこっちの勝ちだ!」
突然襲ってきた不安はどこかへ逃げていった。
「分かった。行こう!」
「うん!フフッ。嬉しいな」
こうやって私たちは歩き始めた。と、さっきとは違う不安が襲ってきた。お金とか、私たちだけで大丈夫なのか…。お金は持ってきたって言ってたけど。まぁその時はその時か。
私たちはスマホと修学旅行の記憶を頼りに駅に着いた。人が多くいる中、完全に浮いている。スマホで色々調べた通りに進んでいき、ついにホームまで来た。はぐれないように。はぐれないように。
途中大人に声をかけられたらどうしようかと思ったが大丈夫だった。
何分か待って、やっと新幹線が来た。この何分かは今まで以上に長く感じた。
大勢の大人に紛れて乗り込む時、遥がぼそりと呟いた。
「さよなら、大阪」
いや、今日帰ってくるんだけどね。心の中でツッコミ、心の中でクスリと笑った。

0

ある日私たちは。No.2

「何言ってるの⁉私たちで行けるわけないじゃん」
「だって美咲ちゃんが行き先決めてって言うから…。私、本気だよ」
私は考える。本気とは何か。0,11秒で答えが出た。
「あんたそれ本気っていうんじゃないよ。本気っていうのは何から何まで全部決めて、冗談抜きの気持ち」
「じゃあ、行き先は東京。手段は新幹線。時間は今から。帰ってくるのは今日の夜。で、どう?」
おい。おい。そんな真剣に返してくるんじゃないよ。
「帰ってくるの今日なの?日帰り?じゃあ休みの日とかでもいいんじゃないの?」
「いやぁ。学校面倒くさいなぁって思って」
そんな理由…。
「そうか。ほんじゃ分かった。ジャンケンをしよう。それで私が勝ったら今日は行かない。君が勝ったら行く前提で考えよう。それで良い?」
「うん。分かった。私が勝てばいいんだね。そんなの楽勝」
私も勝ってやる。
『最初はグー、ジャンケンぽん!』
遥はグー。私はチョキ。…負けた。
「やったあ!!東京行ける!」
いつもの遥に戻った。
「まだ行くって決まったわけじゃないからね。行く"前提で”って言いましたからね」
「え~。でも行く可能性の方が高いってことでしょ?それなら行くってことだよ!」
どうしよう。彼女はもうその気になってはしゃいでいる。幼稚園児みたいに。