ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 15.オーベロン ⑦
それから暫く。
わたし達はショッピングモールのゲームセンターにいた。
「昨日部活でさ~」
「何々?」
師郎や耀平は騒がしいゲームセンターでお喋りしており、黎はクレーンゲームをぼーっと眺めている。
そしてネロはクレーンゲームで静かに遊んでいた。
「…クソっ」
ネロはポツリとそう言って、クレーンゲームのボタンを拳で叩く。
「なぁネロ、無理してソレ取ろうとするの諦めたら?」
お前の財布も限界だろ、と耀平が言う。
「…」
ネロは黙ってそっぽを向いた。
「…なぁネロ」
府と耀平がネロに聞く。
「お前さっきからおかしくないか?」
普段クレーンゲームやってる時はもっと騒いでるのに、耀平が呟く。
「お前本当は何があったんだ?」
ちょっと言ってご覧よ、と耀平はネロに近付く。