ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 12.ユニコーン ⑧
寿々谷市中心部から電車で約15分。
寿々谷駅の隣、新寿々谷駅は寂れている。
一時期は寿々谷駅より栄えていたらしいが、今となってはそうでもない。
駅前は閑散としており、人通りも少なく、商店街はシャッターが目立つ位だ。
駅の利用者数も少なく、あそこを使うのは地元民か近くの高校の生徒位と言われている。
わたし達は今、そんな駅から出た所だ。
「う~暑い~」
「じゃあネロ、そのパーカー脱げば?」
「え、やだ」
暑いのなんのと言いながら人気のない改札を抜けたわたし達は、これまた人気のない通りへと向かって行く。
「…それで、新寿々谷に来たのは良いんだけどさ」
わたしがふと言うと、皆の視線がこちらに集まった。
「結局どこ行くの?」
わたしがそう尋ねると、ネロはう~んと答えた。
「正直どこへ行くかハッキリ決めてないんだよね」
何をするかもあんまり考えてない、とネロは言う。
「…どうする?」
やっぱり”いつもの場所”に行く?と耀平はネロに聞いた。