ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 18.メドゥーサ ③
「え、ちょっと!」
耀平は思わずそう言うが、ネロは気にせず少女の肩に手をかける。
ネロに肩を触れられて、少女はパッと振り向いた。
「…」
少女はネロの顔を見てポカンとしている。
その様子を見てネロは驚いたような顔をした。
「誰?」
少女は不思議そうに尋ねるが、ネロはあー…と目を逸らす。
「な、何でもない」
ごめん人違いとネロは恥ずかしそうにそっぽを向いた。
「…」
少女は黙ってその様子を見ていたが、少し離れた所で母親が待っている事に気付いて母親に駆け寄った。
「ネロ」
耀平がネロに近付いてそう呼びかけると、ネロは彼の方を見た。
「急にどうしたんだ?」
知り合いか何…と耀平が言いかけた所で、ネロは耀平の横を通り過ぎてわたし達の方へ向かった。
「え、ちょっ」
耀平がそう言って彼女を引き留めようとしたが、ネロはこう呟く。
「行こう」
そう言いながらネロはわたし達の側を通り過ぎていった。