クリスマス小説祭 プレゼントNo.2
「動く点p」さん、参加有難う御座います。
それではどうぞ、題名は「吾輩を猫とする」。
吾輩は何者であろうか。自分のことだが、自分でもとんと検討がつかぬ。しかし、こうしてものを考える以上、混沌に生まれ混沌に沈みゆく無為の塵とは思えぬ。そして初めて、自分以外の生物を見た。随分後から知ったことだが、あれは「学生」と言うものであった。学生とは、よくわからぬ詭弁に注力し、のらりくらりと日を過ごす偏屈者だと存じている。そうして吾輩は、その学生、「優里」なるものの下で過ごすこととなった。彼は、友人と酒を飲み、やれ政治がなんだ、学問がなんだ、と怒鳴り散らす。うるさくてたまったものではない。また、彼はよく、カステラなる黄色い物体を食した。吾輩もかけらをもらったことがあるが、たいして美味くはない。やはり、学生と言うのは物好きである様だ。ある時、彼が友人にこうこぼしているのを聞いた。
「この前拾った猫、変わってんだよ。じっとこっち見たり、キョロキョロ何か観察してやがる。何だ、猫ってのは皆そうなのか?」
成程。吾輩をその、「猫」とやらだとした場合、吾輩の行動は少しおかしかった様だ。しかし、今の会話より、吾輩の正体が決まった。これより、吾輩を猫とする。