回復魔法のご利用は適切に!_10
シオンは窓に寄って外を一瞥する。人型は頭をもたげ、シオンに向けて放射線状に水を飛ばしてきた。シオンはエリザベスを抱えたままブリッジのような体勢をとって避ける。
「きゃああ!!シオンさんの体幹の良さが恐ろしいですわ!!」
「あは、体幹は自信あるんだよね。ところでリサちゃん、窓から落ちるとかって大丈夫?」
水は壁を破壊し、飛び散った水滴から更に人型が出てくる。
「えっ?お、落ち…窓から」
「うん、もちろんリサちゃんに怪我一つさせない方法は考えてるんだ」
「ま…まあ…シオンさんが仰るのであれば!私覚悟を決めますわ!」
「わおリサちゃん思い切りいいね。じゃあ早速」
シオンは微笑み、エリザベスを窓枠からそっと落とした。
「…ええええええ!?私だけ!?普通に死にますわよ!?シオンさーん!!」
「ごめんね、絶対助けるからちょっと待ってて!」
完全にフリーになった身体で人型の攻撃を避けていく。落下しているエリザベスとシオンではシオンの方が集中攻撃されるのは想定通りだった。シオンは窓の外に手を突っ込んで、エリザベスの下方にあるつる植物に魔法をかける。
「おっきくなーれ!」