紺色のワンピースをひるがえして
けんけんぱして君のもとまで
夕陽がおちて沈むのをながめようか
なんて誘い文句で君をつれだした
楽しいねって笑うからそうだねって笑った
このままずっとって思ってたけれど言わなかった、言えなかった
きらきらしててまぶしかった
影踏みして遊ぼう
帰り道はさみしいだけだから
君の背中を追っかけた
じゃあねって笑うからうんとうなずいた
明日はあるの?って思ってたけれど言わなかった、言えなかった
授業中
シャープペンシルを片手に
黒板を見るふりして“キミ”を見る
“キミ”は真剣に先生の話を聞いていて
私が“キミ”のことを見ているなんて気づかない
私は小さく呟く
その声もきっと“キミ”には届いていない
だけど今はこれでいい
見ているだけでいい
だけどいつか笑顔の“キミ”に言いたいな
『だいすき』ってー・・・
あなたは私の持ってないものを持っている。
だからとても惹かれるの。
でも、だからこそ、あなたの言葉を聞いたり、あなたの行動を目にすると、
私はあなたとの大きな差を思い知って、惹かれるのと同じだけ苦しくもなるの。
貴方は優しい人だから
一人で抱え込むのでしょう
重い荷物を誰にも気付かせぬまま
だから壊れてしまうのです
私に少し分けてくれませんか
貴方の荷物
私も共に背負いたいのです
冬の風が
それはそっと悲しげで
星は貴方に語りかけ
暗闇の中
二人きり
届かぬ想い秘めたまま
私は君を愛しているけど
それは引き留める理由にならないね
私の願いは何時でも
君の自由と喧嘩している
その背中に映える白を
私は如何しても奪えない
君は大きな空の高いところを
何処までだって翔んでゆける
くん、と顔を上げて
ぴん、と伸びた背で
大丈夫 きっと
君を阻害するものは何もない
その気になれば君は 父でさえも越えてゆける
君は真っ直ぐ前だけを見据えて
私を顧みることはしないで
期待値が零なら私は
遠くなる背中を きっぱりと愛してみせるわ
追い込め、追い込め
自分を極限まで追い込め
そうしないと自分は何も出来ない
伝えたいことも伝えられない、
探した言葉も逃がしてしまう。
歯がゆさと、後悔と、それから少しの涙と
色んな思いは宙を舞って、
ひらひら積もって、重なって
心が知らずに傷んでも、
それでも日々を捨てきれないなら、
誰よりも前を向いて、
歩くしかないじゃないか。
一年前の通学路を歩くたび。
みんなで合唱した場所に行くたびに。
私は過去に時を戻す。
そして、思い出に浸り続ける。
今の仲間がいるからかな?
クラスで一人でいたことも、友達に無視されていたことも今となっては笑い話で。
誰にも頼らずここまで生きてきたわけじゃない。
夜に一人で泣いたこともあった。たくさん悔しい思いして、何度も人生をやり直したかった。
それでも、悔しい思いをするのは一生じゃなくて一瞬だと気づいたから。
後悔するのも一瞬で、泣くのも一瞬で。
笑えないのも一瞬の出来事で。
そう考えたらつらい思いをするのは別に悪いことじゃないのかもしれない。
『ハーヴティーの淹れ方』
街でユリはこう呼ばれている。
「困った時に助けてくれる優しいおねいさん」と。
ユリ自身はそのつもりはないのだが。
この子ももしかしたら評判を聞きつけてやってきたのかもしれない。
取り敢えずユリはハーヴティーを淹れる事にした。
魔法の師匠から教わった魔法の淹れ方。
ただしユリがやると19回に5回は失敗する。
そんなことも知らない少女はこくりとそれを飲んだ。
そして数秒目を閉じゆっくりと開けてこう言った。
「ねぇ、このハーヴティー変な味がする。まるでチープな味のオレンジジュースみたい。私が教えてあげようか?」
ユリは少し驚いてこう言った。
「教えてあげるって、君は記憶を失っているんじゃないのかい?」
少女は少し間をおいて言った。
「なぜだかこれだけは覚えているの。わからないけど。なんでだろ?」
ユリは合点がいったので少女に話してみた。
「それは記憶障害の症状だね。
端的に言うと君の記憶は心という水に沈んでしまったんだよ。
多分それをサルベージしてあげれば君の記憶が治ると思う、たぶんだけど。」
少女は少しぽかんとして口を開いた。
「治し方がわかったの?ならすぐに治してよ。早く思い出してお父さんお母さんの所に帰りたいわ!」
「まぁまぁ少し待ちたまえ。そう早まっちゃ駄目だよ。いくら私が魔法使いだったとしても準備って物が必要だよ。」
そうだ、とユリは閃いた。
「ねぇねぇ、記憶を戻す準備ができるまで家に泊まって行かない?トクベツに私の仕事を手伝わせてあげよう。」
少女は少々不服そうな顔をしたが、こくりと頷いた。
To be continued #31 『シュガァリィスノォ』
P.S.ずっと書きたかった。
チープな味のオレンジジュースって言う文章。
なんとなく良くある表現ですけどなんかアレですよね、アレ。
この言葉で言い表せないこの感じ、この感じが書きたかった。
この話は上のような思惑で書かれました。
もう何がなんだか分からなくなっている様です。僕自身が。