「__サンタなんているわけがない。馬鹿にしやがって。」
苛々しながらこんなことを言っているのは、高校一年生の結城碧(ゆうきあおい)だ。十二月も下旬になり、世の中はクリスマス一色。お正月が廃れて見えてしまう程に。
この碧だが、様々なことが重なりに重なって苛々が募り、そのまま帰宅したのである。もちろん、原因はクリスマスに関係しているのだが、一概にそれだけとも言い切れなかった。
碧はこの春、いわゆる進学校に合格した。人並みか、それ以上の実力はあったし、自分でもそれに見合うだけの努力をしてきたという自負がある。部活動にも所属していて、彼は剣道部だ。小学生の頃から続けているそれは、全県でもトップクラスで、碧は大会の常連だった。高校でも、勉強と部活を両立し、充実した生活を送れるものだと思っていた。
しかし、冷静に考えれば、限りなく不可能であると分かった。
まず、通学時間が片道で一時間。しかも碧は電車で通っているため、時間の自由がきかない。そして、部活では朝練があり、帰りは夜10時を過ぎる。それから夜ご飯やお風呂だ。物理的に、勉強出来る時間も限られてくる。こんな生活を送っていたら、授業では寝てしまい、部活も真剣に取り組めず、家に帰ったら寝るだけとなり、いつの間にか、勉強も部活も上手くいかなくなっていた。
続く
あなたの物語はいま何ページ?
もし辛いならそんなページは早く読み進めよう。
どんな名作だってページをめくらないと読めないから。
「すきだよ、あいしてる」
「そんな簡単に愛してるなんて言うんじゃない」
「うん、ごめんね、あいしてる」
叩けば叩くほどほこりが出るように、言葉は生み出されていく。
昨日の、私が作ったブラウニーをおいしいと称した言葉は、戸惑いもなく信じられたのに。
どうしてなのでしょうね。
「あ、ながれぼし」
思わず空を見上げると、ただただ星が瞬いていた。
「ほんとうだよ、さっきひゅーっとながれていったんだ」
私が疑うような目をしていたのか、慌てたように弁明をした。
「そうなんだ、見たかった」
私はいともたやすくその言葉を信じた。
「すきだよ、あいしてる」
「簡単にそんなこと言うんじゃない」
叩けば叩くほどほこりが出るように、言葉は行く宛なく生み出される。
私が受け止めなかった言葉たちは、どこへ行くのかな。
どこかで泣いているのだろうか。
「ごめんね、あいしてる」
「もう、いいから」
それはとても贅沢者だ。
「わかったから、それ以上言わなくてもいい」
信じる信じないは一度置いておいて、受け止めておこう。
その先は保留だ、君の微笑んだ横顔にどうしても目が行くこともひっくるめて。
みんなはどうして夜に眠るのかって、
まとわりつく過去
迫り来る未来
見失いそうな今
逃げると決めたこと
闘うはずだったこと
できないことを並べても
できることは見当たらない
部屋の時計は止まらないし
身体を包むのはタオルケットで
ほら、こんなの、
泣いてしまうでしょう
だからみんなは
夜の悪魔に取り憑かれないように
そうなんでしょう、きっと
僕にしかできないことがあるのなら、いくらでも見つけ出して成し遂げたい、って思うよ、
心の引っ掛かりを取るにも、心というのは必要で。その、身体を動かすにもそれは必要な気がしている。
でも、その心は自分だけでどうにもならないから、きっと、誰かからもらってるものだとも思う。
いや、それが全てなのかもしれない。
どうだろう。どうなんだろう。