頑張ってるよって言いたいけど
これ以上できないのかって聞かれたら
Yesと答えられなくて
焦りと不安ばかりが積もる
僕は僕の道しか歩けないけれど
君にはなれないけれど
きっと君は僕になったとしても
毎日を懸命に生きるのだろう
結局は自分次第
もう無理だっていうくらい
全力で走りたい
一度しかない人生を
このまま終わらせたくない
「なあ、凜?」
「なあに、蒼兄?」
「俺達を何処に連れていってくれるんだ?」
「大おばばの処!」
朔と蒼は顔を見合わせた。
大おばばと云うことは――
「村の一番偉い人?」
朔が尋ねると、楽しそうに首を振る。
「ううん、一番偉いのは'そんちょうさん'だよ。」
朔は困ったように微笑む。
「どんな人?」
「んー…なんでも知っているんだよ!」
凜はとても楽しそうだ。つられて朔も笑みを溢す。その歪みに気付く由もない。
畑が見える。自分達で育てているのだろう 野菜とおぼしき集まりは、まだ芽を出したばかりのようだった。
「大おばばー‼大おばば、旅人さん!」
そうして呼ばれ出てきたのは、'大おばば'と呼ぶにはあまりにも若く、可憐と云うよりかは幾分か妖艶な女性だった。
希望 よりは確かで
憧れ とは似ているようで違う
この
ただ「嬉しい」という気持ちだけ
正直に言うから
信じてほしい
私の言葉は如何したって
誰かが歪めてしまうのね
裁縫箱の埃を払って
取り出したのは針と糸
歪めたくせにその人達は
嘘吐きと私を詰るのね
肌の色になんて合わせる余裕はなかった
間隔も滅茶苦茶な蛇行線
歪めたくせにその人達は
脆弱だと私を嗤うのね
僕は走ると決めた。
先着での選定で僕だけが選ばれた
他の散ったものをしらず 力を蓄える
あるひとは見えないところで志半ばで リタイアさせられた
あるひとは間違えたフライングで ペナルティを負った
音をきいた それでも僕は蓄えている
かべをけりながらも ふわふわうきながらも
ついに僕は走り出す。
広く長い道を走るマラソンへと
顔も知らない同期生と一緒にラインへたった
緊張に堪えられず 皆が叫ぶ
あるひとは待ちわびたスタートへ 心踊らせた
あるひとは遂に来てしまったスタートを 嘆き悲しんだ
始まりの光をみて 僕たちは走っている
叫び声に包まれて 声援に包まれて
僕たちは走っている。
曲がり角がたくさんあるコースのなかで
皆が皆諦めず 突き進む
正解の道をさがして 間違えながらも進んだ
正解の道をさがして 他のひとのまねもしながら進んだ
ゴールを目指して 僕たちは走っている
希望を胸に抱いて 志を持って
僕たちは走っている。
少し慣れはじめたコースのなかで
他のひとを見ず 突き進む
悪い足場にも慣れて 少し楽になってきた
悪い事象を見て 悪いものも産まれた
前より安定して 僕たちは走っている
様々なものを抱えて 様々なものを忘れて
僕たちは走っている。
折り返し地点を知ったコースのなかで
目標を持って 突き進むことをきめた
目標を忘れて 突き進むことにも慣れた
僕たちの道を 僕たちは走っている
違う個性をもって 違うことを抱いて
僕たちは走っている。
差も開きはじめたレースのなかで
飽きることもなくて ただがむしゃらだった
飽きることも知って 自分のペースを保った
それぞれ違う道を 僕たちは走っている
近道のないコースのなかで 拾い物のあるコースのなかで
僕たちは折り返した。
皆が皆走ってきた方角へ
見慣れた道を走って ゴールを目指した
見慣れない道を楽しんで ゴールを目指した
飽き飽きしながらも 僕たちは走っている
マイペースにあるいて 気ままに寄り道をして
僕たちのゴールが見えた。
長い間目指したゴールが
見た瞬間に 悟り 落胆した
振り返ってみると 色鮮やかな空が光っている
ゴールした人リタイアした人頑張った人を褒めたたえるように
ずっと頑張るって難しい。
はじめはスタートダッシュ
おわりはラストスパート
なら中間は?
だから私は辛くなって、悩んで、後悔する。
「ちょっとだけ」
そのセリフなにに使う?