「なあなあにいちゃん、おれ、ピーマンたべれるよになった!」
「今日はエイプリルフールだろ?」
「クッソーーー!何で今日だけは勘が鋭いんだ?」
「わが心の友よ!ついに俺にも彼女が……」
「エイプリルフール!」
「ちっ、お前は毎年4月1日になると勘が鋭いよなあ(笑)」
「ごめん。いきなり好きとか言われても、あなたのことタイプじゃないの。」
「……だよね〜///ごめん呼び止めて!今日のことは忘れてほし……」
「……勘はどうしたのかしら」
「へっ?」
「今日は何の日?///」
「姐さん、着替え早い。」
蒼がちょっとした教育を受け、元来た道を歩く3人。
「姐さん、客人迎えて着替えに引っ込むのはどうかと思うぞ。」
ぶつぶつと言う蒼の台詞に、朔は微笑みながら解説を加える。
「もっと用心する気持ちを大切にしろって言っているんだよね、蒼。」
「それなら大丈夫だ。そもそもあまり客人を家に入れないんでねェ。」
「な…それなら尚更…!」
朔に、二つの疑問が浮かんだ。
「じゃあ、何故僕達を招き入れた?」
蒼も、真面目な顔に戻った。
藤はそんな二人を見て、表情を変えずに一言。
「"力"の見定め、とでも言っておこうか。」
「そう…。」
案外あっさりと引き下がる朔に、蒼が拍子抜けする。
「本当にそれで納得したのか、朔。」
「うん。あと、もう一つ。これは蒼に聞きたいのだけれど。」
少し身構えた。朔は時々、嫌に鋭い。それも、答えにくい内容に限って深いところをついてくる。
「…何だ?」
やっぱり優しさは同じ大きさ
ふれるたびに遠く遠くに感じるのは、
きっと あの日から進めていない私
「ここじゃない」と言ってるだけじゃだめだめだ
「ここだよ」と呼んでいる 5メートル先まで
涙3粒の苦しみはすぐに強さに変わるけど
100粒の悲しみはなかなか難しい。
でもその涙が乾いた時には大きな愛が残るんだ。
纏う布が日に日に軽さを増してゆくとき
あ、桜、春だなあなんてMagicのように心に浮かぶとき
水色のビー玉
ぬけるように青い空
瓶のサイダー
そんなものばかりに恋い焦がれてしまう
喉がひとりでにしゅわしゅわとなる
でも
そんな頃になると
桜に風情を抱きはじめちゃったりして
桃色の雪を懐かしんじゃったりして
くるくるくるくる
流れる時間
流れる空
手を伸ばしてぎゅっと握ったとき間からこぼおちてゆくような香り
ふわあんと漂う自分
くるくるくるくる
自分で回したルーレットは
どこで止めたら満足するのだろう
満開の桜はどこか君の笑顔に似ていた
もう君は僕を忘れただろう
僕の心の桜はもう散ってしまったのかもしれない
当たり障りのない毎日がほしい
こんなに苦しい起承転結を頼んだ覚えはない
歩けなくなる前に
戻れなくなる前に
陽が落ちる前に
羊を数え上げてしまいたい
高2になった。
あなたもきっと、向こうでずっと頑張ってる。
4月になった。
あなたそっと桜よりもガジュマル眺めてる。
エイプリルフール
あなたにうそをつきたいけれどつけなくて、
今年はきっと
あなたに会います。
「君は......やはり神の子だったんだね。
いや、君という言い方は失礼か。
私めは貴方の降臨を待って居りました。」
跡形も無く貫かれた怪物の横に立っていたのは、先刻までユリが見ていた少女では無く、光と一枚の布を纏い凛々しく立つ少女であった。
「私を待っていた?
いや、待たれては困る。私は予備、本来私が目覚めると言うことは良からぬ事だ。」
「その良からぬ事が現に起きているのです。
この空間の大本はファヴァー魔法図書館ですが、今はそれを発動させるモノが降臨していません、貴方を除いて。」
少女は少し考え、こう言った。
「それならば私は目覚めるのが早かったのかも知れぬ。私は再び眠りにつくことにしよう。
二度と、私が目覚める事の無いように祈って。」
光は徐々に収束し、いつもの少女が現れた。
「.........ユリ?ユリなの?」
「ああそうだよ。帰ろう。」
「......どういうこと?ユリ?」
「帰るよ。話すことがある。」
そう言ってユリは『not walk move』のグリモワールを構え、文字をなぞった。