「はりつけにされたら、無実の罪にさえも謝ってしまいそうだ。」肌寒さから目が覚めた。夏なのに、骨まで染みるような底冷えで、体が軋むように傷んだ。目の前には、夏の夜の深い青に染まった教室の、空っぽの机と椅子がずらりと並んでいた。神崎の執拗な拷問で気を失ってから、僕はどうやら教室の黒板にはりつけにされたようだ。空っぽの教室を眺めてみる。神崎にかけられたシューアイスの残り香が微かに香って、夜の冷たさに押し潰された。口の中がカラカラに渇いて、昔、西内と食べたシューアイスの味を思い出す。あの頃の僕は幼く、無知で愚かで無力だった。今の僕は、どうだろうか。高校生になった僕は、シューアイスへの愛すら全うできない、しょうもない奴じゃないか。怒りに身を任せてみたところで、自分を守ることさえもできない、最低の男になってしまった。喉の奥が痛いほど渇いて、シューアイスがどうしようもなく食べたくなった。けど、そんな資格はもう僕にはないんだ、と気付いて、唇を強く噛んだ。愛したものが必ず手に入るとは限らない。それは、気付かない内に、手の届かないところへ行ってしまう。外では、ねばりとした風が吹いて、暖かい空気を何処かへ運んでいってしまう。短い呼吸を繰り返す。こうしていれば、いつの間にか朝が来て、全部無かったことになるのだろうか。目をつぶって、もう一度、シューアイスの極上の一口を食べられるような朝を想像して、僕は眠りにつこうとする。
パズルのピースを完成形のように
額縁に入れて飾る君が
どうしようもなく憐れで
でもそれが君の愛の形なら
それを僕らの愛の形にしようと思う
貴方の優しさは水溶性
ホットココアに くるりと一混ぜ
貴方の優しさは無味無臭
ホットココアに くるりと一混ぜ
分からなくって良いのだと
貴方は投げやりに笑って
まるで意地悪みたいに
唐辛子がココアの仕上げ
貴方の優しさは水溶性
ホットココアに くるりと一混ぜ
貴方の優しさは無味無臭
ホットココアに くるりと一混ぜ
分からないはずないのにと
僕はカップで笑みを隠して
まるで不毛なことだけど
貴方の紅茶へ砂糖を3つ
「大おばば!?」
急にかけられた声に、藤は振り向く。
「凛、どうした。」
小さなその子の目には、涙が溜まっている。
「ひどいよ!朔兄と蒼兄を連れてきてって言ったじゃん!」
そう言って、藤に抱きつき泣く凛。
藤は微笑む。その笑みは、本当の母親であるかのように、慈愛に満ちていた。
藤は、自分の着物に顔を埋めて泣く子供の頭を撫でると、
「分かるかィ?だから子供の前には姿を現す、
…こんなにも愛おしいものをアタシは知らないね。」
先程の答えの続きだ。
そして、今度は凛に。
「すまなかったねェ。」
凛は、
「じゃあ、もう兄ちゃんたちをつれてってもいい?」
と問う。
朔と蒼は、藤に返答を求めた。
本当に断ってもらって全然構わないのだけれど
こんなこと、もう一度だって言えはしないし
断られたからと云って
もう二度と、他の誰にも伝えたりはしないから。
望月朔です。思ったこととか感じたこととか気ままに書き込むつもりです。感想大募集で出来ればレス頂きたいです。よろしくお願いします。
流されている、という自覚はある。
自覚があって流されているのも、
自覚していなくて流されているのも、
同じなんじゃないか、なんて。
おもったり、してるの。
結果論なのか、それともその途中の道のりを見るか、
それによっても変わるんだろう。
だけど、流されてるってわかってて、
もがいても、もうどうにもならないのなら。