ほらね、僕が笑えば君が笑う
この瞬間が好きで、この居場所を守りたいんだ
暗闇から抜け出してくれた、君のやさしさ忘れない
ときどき、ひどいこと言ったりするよね。ごめん。
でも、本当は大好きで、なかなか言えないから、笑顔で嫌いだなんて・・・
でも、感謝してるんだ。
救い出してくれて、ありがとう。
不愛想だ。薄情だ。面白くない。
嗚咽感すら込上げてくる。
愛さえも貰えないのなら人間である価値などない。
僕らみたいな動物は結局自分が大事なのだ。
出会えたことが既に奇跡って直ぐに気付ければ
その先なんて、あわよくば君に愛されたいなんて
願ったりはしないのに
大切なものは手元に残してたはずだった。
決断を迫られて大切なものは残そうと
必死にもがいたはずだったのに。
でも間違ってた。
大切なものがある選択肢を切り捨ててた。
ほんとに大切なものってどうしたら後悔しないで手元に残しておける?
夕涼みみたいな風が今更に
今年のトレンドのマフラーになるらしいね
名づけようのない気持ちと
大切にしていた50円玉が
眼鏡をはずした その瞬間、瞬間に
この世界のどこにも
わたしがいないような気がする
嫌い嫌い嫌いこんな言葉を言う自分が
一番嫌い
愛想振り撒いて笑ってる子をみるとイライラする
なんで自分だけがこんなに大変な思いしてるのか
よく分からなくなるから。
こんな私の事君は嫌い?
「あたし好きな人出来たんだ〜」
「へ、へぇ〜」
「隣のクラスの〇〇君なんだけど〜
顔いいし優しいしさ〜」
「確かにカッコいいよね〜」
一応、いつも通りの笑顔のつもりだけど…。
もとからアシンメトリーな顔が更に歪に歪んだ。
言葉のない世界はどんなだろう
周りの景色がどんな風に見えるんだろう
伝えたい思いは伝わるのかな
「なんで僕と付き合ってくれたの?」
そう聞くと彼女は一瞥もくれずに、すんか、と言った。付き合って一年と半年になる日曜の昼下がりだ。
「すんか?」僕は聞き返す。すんか……寸暇? それとも何かと間違えてるのかな。す、す、す……すし……あーお寿司食べたい……じゃなくって!
「どういう意味?」
「メールで。変換ミスして」
聞くところによると、彼女を初めてデートに誘った時の僕のメールが、「もし良かったら今度一緒にご飯行きますんか」だったらしい。あんまり記憶にないけれど恥ずかしい。当時気付いていたら二度と顔も合わせられなかったくらいの恥ずかしさだ。ちなみに交際の申し込みを切り出せたのは、それから3ヶ月は経っていた気がする。
「じゃあそこで変換ミスしてなかったら付き合ってなかったの?」とこれは冗談だったのだけど、「うん」と真顔で彼女。
「ええぇ! そんな! 僕ってそこだけなの?!」
「でもそんなもんでしょ」
「そんなもん?」
「そんなもん」
強引にまるめこまれたような。釈然としないままごろんと体を床に投げ出す。この会話の流れなら今度は彼女があの質問をしてくるべきではないか。そう思ったけれど一向に彼女が口を開く気配がない。畜生、聞かなくたってお見通しだって? そりゃ確かに僕の方はベタ惚れだけどさ。悔しいから向こうが聞いてくるまでは黙ってやろう。そんな、報復になるのか分からない報復を試みる。
と、その時彼女がこちらを向いた。やっぱり? 参った? 僕は少し鼻高々に待ち構えた。
「好きよ」
勝者、彼女。