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夢のあとに続く。

夜も眠れる頃、寝惚けたひとに抱き寄せられて、わたしの耳もとを寝息がくすぐった。くすぐったいのを堪えて眠れぬ頃。生きたくない日もあったけれどずっと生きてたね。こんなふうになるとは思ってなかったような。けれど、じぶんで引き寄せたような。無防備だった背中が愛につつまれるふしぎ。真っ白でも許して、灰色でも許してみたの。切なくってちぎれても、許してみたの。手と手をつないで。ほんとうの話ってなんだろう。分からないってどんな話だろう。つないでいくよ。ふたり、ひとつずつ。

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日常

こたつで寝ている母を見ながら

あと何年一緒にいれるんだろうとか
いつまで愛してくれてんだろうとか

考え出すときりがないし
数字は恐ろしいくらい小さいけれど


いつも「ありがとう」も「ごめん」もまともに言えない私と
毎朝欠かさない「いってらっしゃい」に
       「いってきます」といえない私と



いつかちゃんと私が
何かを伝えられるような人になってからお別れはしよう。

話が矛盾してるのはわかってる。

でも約束して欲しいの。

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狂言

2番目でもいいんです
あなたの眼に私が映るなら

約束を忘れられても
綺麗な指輪がもらえなくても
知らないとこで誰かと愛しあっていても
それでもいいんです

例えあなたの愛情表現が
首を絞めることであっても別にいいの

あなたが私を好きって言ってくれるなら

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ショートフィルム

想い続けるなんて
なんて馬鹿なことなんでしょう。
叶う恋なんてもうないのに。

でも、そこに
あなたに溺れた、私がいました。
楽しくて もどかしくて 戻れない
そんな時間に
惚れていた、私がいました。

おわり

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戯言即興詩。

きみにかけるためのことばも見つからないまま
ぼんやりとストーヴの「よい炎」を見つめてる
よく冷えた今日の風を思い出して首許にカイロ

…おやすみ。と云ったきみの、ひとつ前のことばを思い出せなかった。

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うんめい

運命なんか知るか。君が傷つくくらいなら、そんなもの運命と呼ぶな。
「これも運命」
だなんて、逃げるにはうってつけの言葉だから。
運命に飲み込まれないような人間に、なってみせるから、待ってて。

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詩織 ⑰

ライバルだ、なんて馬鹿みたい


あいつはあたしのことなんて見えてない



全力ダッシュしてるあたしの横を



あいつは鼻歌歌いながらスキップで抜かす



そしてあっという間に見えなくなる


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忘却曲線

忘却曲線 指でなぞって
時間が経てば忘れるよと
捨てれば忘れられるよと
なんて簡単だ
忘れたくないことも
忘れたいことも
いつか全て忘れて
いつか全て此処へ置いていって
何処か遠い場所まで

忘却曲線 逆さまにして
時間が経てば思い出すよと
捨てれば思い出せるよと
なんて難解だ
忘れていないものも
忘れたものも
いつか全て思い出して
いつか全て彼処へ取りに行って
何処か遠い場所まで

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忘却

さよならと告げた君の スカートの色を忘れた
頷くことも出来なかった僕の 履いていた靴も
ただ遠い と感じることに 安心を見出していた

君を乗せた箱が通り過ぎていく
何も駅のホームで言わなくたって良かったんじゃない
取り残された僕は まるで迷子のようで

愛していたと言った君の
まだ好きだと言った僕の

お互いの色 忘れなければ きっと
もう一度、会えるだろう

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つんと澄ましたあの子のような、

雨に濡れた野良猫のような

泣きたいのに泣けなくて瞑った瞳の奥のような

鋭くて冷たくて甘い

窓から流れ込む風の匂いに

何か大切なものを失って何かを見つけたような

冬が来た。