確かに私は君のことが好きだった。過去形だけど
好きだったんだよ。自分でも引くくらい好きで好きでたまらなかった。だけどね。神様はそんな甘ったるくて溶けそうな私達の関係を引き離した。甘すぎて、愛しすぎて、何も手につかなかった。それは正解だった?不正解だった?私達はお互いを愛し続けていたらどうなっていたんだろう。その方が幸せだった?それとも、お互いをダメにした関係になってた?結局どれが正解でどれが不正解なのかわからない
先輩のピアノはいつ聞けるんですか?20日は卒業式。卒業式のピアノで最後ですか?私は先輩のピアノが大好きです。男の人であんなに綺麗なピアノを聴いたのは初めてで、美しくて美しくてしかたなかった。先輩のピアノに恋をしました。先輩はどこの高校に行くんですか?高校でもピアノを弾き続けるんですか?まだ名前しか知らない先輩へ。
勇気の種は自分の中
それを自分で育てることができる人もいれば
誰かの言動を肥料にする人もいる
あの英雄の勇気だってはじめはちっぽけモノで
最初は大きな音にさえビビってた
勇気の形はそれぞれで
君には君の
僕には僕の
英雄には英雄の
誰かに合わせる必要はない
自分だけの勇気を咲かせよう
簡単な答えをまだ見つけていない。
簡単な方法は身の回りにはない。
簡単な答えをまだ手にしていない。
君がいてくれればすぐ見つかりそうなのにな。
迷路、迷い込んだまではいいが。
上手く迷えない。
君と手を繋げば上手くいきそうな気がするのは
勘違いってやつかな?
足りない
色鉛筆が
あなたを描ききれないの
鮮やかな恋をくれたあなたを
また好きになりました
ひとつ、じぶんのだめなぶぶんをみつけると
つぎからつぎへと
だめなぶぶんだけがめだって
わたしってだめなんだっておもう
そんなじぶんがわたしはきらいだ
少しだけ聞いてもいいですか
いつになったら僕のこと
好きになりますか
自分より能力的にも人格的にも優れた人間と接したことがなければ自分がいかに劣っているかということが自覚できない。また自分より能力のある人間、人格者がこの世にはいるのだという想像力もはたらかない。
週末の夕方にしか行けないの
お母さんにも秘密なんだから
小さなサンドイッチと
瓶に入ったお酒ばかりが
西陽にきらきら揺れている
流行りのお菓子はひとつもない
つまらないコンビニ
電気もつけてくれないの
わたしに来ないで欲しいのね
自動じゃないドアを開けると
バタバタ急いで火を消すの
あまったるいのが好きなのね
家からも学校からも遠い
個人経営のコンビニ
買いたいものはひとつだけなの
夕暮れのコンビニ
「セルゲイ、こっちだ」
「久しぶりだなアンドレイ。……君は考えていることも個性的だがファッションも個性的だ」
「ありがとう。いまどき、ファッションは個性的だが中身はステレオタイプなんて奴ばかりだ。しゃべりで気を引けないから見た目で気を引こうとしているだけなんだ」
「気を引くためのファッション、威嚇のためのファッション、いずれにせよファッションは表現だ。……やあ、アレクサンドル。……君はいつも謙虚だな。無知で世間知らずで劣等感の強い人間というのは、自分の立場をおびやかさない人間に対して尊大に振る舞うことで自尊心を満たそうとするものだが」
「俺は無知じゃない」
アレクサンドルがぼそり、つぶやく。
エカテリーナがまた泣き出す。彼女は常に情緒不安定で、暇さえあれば泣いている。
筋肉は男らしさの象徴だが、見せるために筋肉をつけようとするのは女性的な行為である。
そもそも見た目で気を引こうとしている時点でそいつは男らしい奴ではない。
わたしは長いこと社会がマッチョ化していると感じていた。よく考えたら社会はマッチョ化しているのではなく女性化しているのだ。
見た目で人とつながれるのは男女問わず若いうちだけである。
アレクサンドルとエカテリーナもそんなタイプだった。
あまり流行らないまま死後になってしまった用語に変換すると、マイルドヤンキーだった。
二人は引かれ合い、ひとつになった。
具体的に言うとマトリョーシカになった。
マトリョーシカはしばらくして子マトリョーシカを次々と生み、子マトリョーシカは、やがて地に満ちた。
錆びた線路の上を歩く
風と音楽に身を任せ
僕はもっと遠くに行こう
午前中の日差し
いつもと違う建物の流れ
僕の気持ちは高鳴った
息もできない暮らしから
少しの間でも離れようとして
今日は学校をサボります
電話は済ませた
これでいいんだ
考えるのはやめよう
色褪せた自販機でソーダを買う
誰も知らない独り旅
ちりばめられた自由を拾う
もっと遠くに行きたくて
もしかしたらあの街に行きたくて
きっとあいつに会いたくて
そうさ僕は歩いて行く
「あばよ。」
昼間に月が見えるのは
日の明るさに掻き消されないほど
月が光をはね返しているから
見逃してくれた桜の代わりに
降り注ぐ紙吹雪が
私の楽園を鎖ざしてしまった
ぱっと顔を華やかせ
真っ直ぐに私の元へ駆け寄る
あの子の笑い顔が好きでした
夕陽色の車内
狸寝入りで凭れた肩が
優しく傾ぐのが好きでした
好きでした
あの子をお慕いしておりました
けれど父様からは奪えない
あの子の掌には楽園の日々
在るもの全て 掛け替えない
甘美なだけとはいかなくとも
せめてこれだけはお赦し下さい
心を託したスカーフだけは
誘惑に陥らなかった 私の代わりに
アザラシを飼いたい。
お金も場所もないけど。
アザラシのグッズか
アザラシになるか
アザラシになるほうが手っ取り早いかなぁ
…なんて
しゃんとして
凛として
ふわっとして
しゃなる。
ジャンプが得意で
甘え方が上手くて
自分の見せ方が上手い
君が大好き。
一つ疑問は
お腹を触ると喜ぶことが
まだ、わからんなぁ。
なんて。
わたしはあなたになんて言うだろうか、
「おめでとうございます」
「頑張ってください」
「寂しくなりますね」
泣きじゃくって何も言えないかもしれない
あなたは私になんて言うだろう、
「ありがとう」
「君こそ頑張れ」
「泣かないでよ」
そもそもわたしに話しかけてくれるだろうか
そんなことを考えながら、私は綺麗にラッピングされた一輪の花をあなたに渡す