「高校です。」
瑛瑠と同じとき。
「それって、」
「人間界に来たときですよ。」
今度の笑みが儚げに見えたのは瑛瑠の取りようだろうか。
「彼らは、すごく大切な存在です。」
初めて、瑛瑠が聞いてないことを、自分の言葉で紡ぎだすチャールズ。
「無条件に信じられる、そんなそんな存在。」
「どんな人?」
形の整った眉をちょっとあげ、考える風にする。
「馬鹿でお調子者でどうしようもなくて、」
おっと。貶しているのだろうか。
「とてもかっこいい人です。」
「……褒め言葉?」
「もちろん。」
チャールズはとても楽しげだ。こんな表情もするのかと思う。
「あとは、腹が立つぐらいかっこいいやつもいますね。」
「かっこいい人がいっぱいいるのね。」
「かわいい人もいますよ?」
とんでもない皮肉めいた言い方。しかし相変わらず楽しそうな表情。チャールズにこんな顔をさせる友人とは、さぞ、
「素敵な人たちなんでしょうね。」
華やかに微笑むチャールズは肯定しているということなのだろう。
「ねえ、チャールズ。その人たちとはどこで知り合ったの?」
僅かな間があった。
「そういう運命だ」って言葉だけで
すべてを片付けて
てきとーに、時に真面目に
誰かが望んでいるわけでもないこの命を
誰かに望んでもらうために
必死でいる
When the world ends
I wonder if not see is with you?
でも僕は
どんなに暗い 夜が訪れても
Never lose sigh
光射すまで Continue to sing
届くよう
君を想って Continue to sing
From going to the absolute pick
これからもずっと隣にいよう
正直、近づくなと言われても無理な話である。瑛瑠が気にしているのは、今後どう対応していくべきかということ。
少し思うところがないわけではないが、好い人であるという感想は変わらない。今、気まずくなりたい人物ではない。
「暗に牽制するなんてことはできますか?」
これまた無茶なことを。
瑛瑠の表情を見て苦笑いのチャールズ。
「1度、断ることを覚えましょう。ひとりがいいと伝えるのです。図書室へ行くときなんてベストじゃないですか。傍に居させてくれる存在を1度離れ、あくまでクラスメートを振る舞う。
そうですね、お嬢さまは正直ひとりでやっていけるのはわかりますが、女の子の御友人がいれば心強いと思いますよ。まあ、作ろうと思って作るものではないですが。」
友人とは。考えたこともなかった。
自分は驚くほど大人に囲まれた生活だったのだと自覚する。またもや難題がつき出された気分だ。
「チャールズにはいるんだよね?そう呼べる存在。」
「はい。」
久しぶりに柔らかく微笑うチャールズを見た気がした。
何不自由ない生活なんてあるわけないだろ。
不自由があってもそれなりに楽しめないと。
「それは、ヴァンパイアの彼に気を付けろと言われた人物ですか?」
やはり質問には答えてくれない。
「そうだよ。」
「いつから一緒にいましたか?」
「……初日から。前の席って、言わなかったっけ?」
「そうでしたね。あと、鏑木先生には何と言われたんでしたっけ。」
「体調管理には気を付けろと……。」
なぜこんなことを聞くのだろう。
「お嬢さまはその彼についてどう思いますか?」
彼とは望のことでいいのだろうか。さらに、どう,とは。
「好い人だなと思うけれど……ねえ、どうしてこんな質問をするの?」
チャールズにまっすぐ見つめられる。もちろん、質問には答えない。
「明日もし体調が悪くなったら、すぐ鏑木先生へ伝えてください。いいですね?」
チャールズの目には、珍しく余裕の色がなかった。頷くしかない。チャールズも予言者になろうとしているのだろうか。
悩み事はと聞かれたから答えたのに、これでは解決になっていない。
「つまるとこ、私はどうしたらいいの?」
アノコモタイヘンダネって
他人事だから関係ないから
きっとずっといいねはつかない
アノコモタイヘンダネって
巻き込まれるのは嫌だから
止まらないのはリム通知
アノコモタイヘンダネって
偽善者の言い訳はいつも同じ
アタシハアナタノミカタダカラネ
交換宣伝してくれるのは
いつも私の悪口だけ