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LOST MEMORIES CⅢⅩⅡ

パプリエールとエルーナは顔を見合わせた。今、自分たちがいかに危険な場面に立ち会っているかということもあったが、それ以上に気になってしまったことがある。
プロジェクトメンバー。
しかし、考える時間なんて与えられるはずもなくて。
「了解。」
目を少し細めて言うジュリア。
「あの東雲をかわして、私の声にすぐ飛んできてくれたことで確信しましたよ。ジュリアの実力はこの世代でもトップだってね。」
どうやらジュリアは口数が少ないタイプらしいと、パプリエールは見て思った。反応を返さない。しかしそのことを彼は理解しているようで。
「頼みました。」
そう言い残し、再び中央へ。今度こそ、パプリエールは止めなかった。
ジュリアはこちらを向く。眼差しは、真剣そのものだった。
「ジュリアは、子どもとか大人とか、ヴァンピールとか人間とか、庶民とか王さまとかよくわかんない。
でも、大切な友人の頼みだから。」
ジュリアは、パプリエールを見ていた。
「大切な人の大切な人だから、君もジュリアの大切な人。」

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「貴方の道を進めばいい」
人は簡単に言うけど、実際そう簡単じゃない。
それってのはつまり、誰も通ってない所。
先に何があるかもわかんないし、熊が飛び出てくるかもしれない。
誰かが通った「道」の方が安全だし、楽。
そういうのも悪くないかもね。
でも俺は、あえて「道」じゃない所を進んでみようかな、って思う。
何があるかわかんない分ワクワクするし、熊と闘うなんて経験なかなかできない。
簡単じゃないってわかってる。だから俺は「道」を進む。誰も通ってない、俺がこれから歩く、俺が信じる道を。

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fighter

この時期は闘いの時期だ。
楽しむなんて悠長なことは言ってられない。
奴らはこうしてる間にも追ってくるんだ。
生きたければ闘え。




そう、夏休みの宿題と。

2

炭酸飲料

私はあまり炭酸飲料を飲まない。
嫌いではないけれど、口の中で炭酸をなくしてから飲み込むくらいに苦手だからである。

でも、炭酸は好きだ。
泡が弾ける時の音。

さわわわー

それを聴きたくて炭酸飲料の入ったビンを揺らして、すぐさま耳元に寄せる。

しゅわわわー

あ〜なんて気持ちの良い音だろう。。。と、ふと気付いた。振っていたら心地よい音も聴けるし、炭酸も抜けるじゃないか!と。

さわー
しゃわわー
しゅわわわー

ラムネの美味しい季節がやって来ました。

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LOST MEMORIES CⅢⅩⅠ

「傷、大丈夫?」
そう、彼は壁にひびが入るだけ叩きつけられたのだ。パプリエールはまた沸き上がってくる言葉たちを、どうにか飲み込む。それを言ったところで、きっと彼の意思は変わらない。
「大したことありません。」
彼もジュリアも、相当疲弊していることは、子どものパプリエールですらよく分かる。ここは、年長者に従うしかない。彼らの、子どもの頭ではまだ理解できない話しぶりから、自分たちでは到底太刀打ちできないなかにいることを自覚した。元はといえば、危険を省みず中へ戻ってきたのは自分だ。パプリエールはようやくまともな思考回路にたどり着いた。エルーナが黙っているようすから見て、彼も同様だろう。
「ジュリア、あなたは本当に優秀なんです。だから、年齢を満たしていなくてもプロジェクトメンバーに抜擢された。
今必要なのは、優れた翼とアンテナ。ふたりを助けられるのはジュリアしかいません。」

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こんなとき

何もかも投げたくなったときは

投げてみるのもいいのかもしれない。

とんでもなく物に当たりたいときは

当たってみるのもいいのかもしれない。

誰とも関わりたくないときは

関わってみないのもいいのかもしれない。

勉強したくないときは

勉強してみないのもいいのかもしれない。


だけどね。

その後、愚痴でもなんでも

僕に言ってみてもいいんだよ??

頑張りすぎてしまう君だから。

支えにはなりきれないかもしれないけれど。

肘置きくらいにはなりたいんだよ。




なんて直接言えたらかっこいいだろうな。

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prayer

「どこかへ行こうか」「どこへ?」
「決めてないけど」「決めなきゃね」なんて
話をするだけで 少し楽しくてさ
浮かれてるんだ 随分馬鹿みたいだなあ

結局行き先は決まらず 朝と同じベンチに2人で
入道雲がオレンジに染まる 向日葵が傾いてく

僕らはどうせひとりぼっち
1+1=2なんて数学じゃあるまいし
だけど何かを変えられそうな気がするのは
何だ 夏のせいか

「君が思うほど世界は 冷たくも悪くもないよ」
この言葉結構気に入ってるんだ、なんて
今更伝えて遅いよなあ
ああ あのとき

僕らはどうせひとりぼっち
1+1≧2だってあるかもしれない
だから何かを変えてみたくて
「奇跡」ってもんを信じてみたいんだ

願い事なんて叶ったためしはないけれど
星に願うほど大それた願いじゃなくてさ
ただ ありふれた日々を 幸せな今日を 確かな未来を
叶わないと知ってそれでも「願う」のもまた夏のせいか

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手持ち花火

帰り道
手つなぎますか?
握手みたいな繋ぎ方して
今日は楽しかったねって
左手のバケツゆらしながら
繋いだ手みてた
好きな手だななんて考えながら
もう少しゆっくり歩いちゃおうかな

もう会えないけど
初めて名前呼んでくれたのが手紙だったこととか
なんとなく会いたかった
の一言だけとか

線香花火が落ちた時みたいに
ちょっとさみしいけど
綺麗だったなって
まだすこし光がまぶたにのこってるの