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LOST MEMORIES CⅦⅩⅤ

静かで落ち着いたその声は、瑛瑠を離さない。
「瑛瑠さんのこと、避けてるか避けてないかでいえば、避けてるのかもしれない。」
教室でも聞いた言葉だった。
「ぼくが原因で瑛瑠さんを困らせてたことを知って、恐くなったんだ。近くにいると、困らせると思って。」
哀しそうに微笑む望。
窓から、暖かい光が入ってきた。望の視線から解放されふと外を見ると、夕焼けと呼ぶにはまだはやい赤みがかった青い空が見える。
瑛瑠の視線の先に気づいて、望は先程より柔らかい声で訊ねる。
「綺麗だね。帰ろうか。」
さすがに驚く。まだ望はここへ来たばかりである上に、話も始まって間もない。何か理由があってここを指定したのではないのか。
口ほどにものを言う瑛瑠の澄んだ眼に望は苦笑する。
「ここを指定した理由は3つ。1つ目は、人が少ないから他人の目を気にしなくて良いということ。2つ目は、待ち時間が暇にならないような場所であること。最後が。」
一度切ったことで、瑛瑠の眼は再び望を捉える。
「瑛瑠さんが、何について調べているのかを確かめるため。」

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依存症

出口のない部屋に君と二人
ずっと一緒にいられたら
どんなに幸せなことでしょう

飽きさせない
逃げさせない
愛してあげる

どんなにどんなにどんなに愛したって
貴方が好きって言ってくれなきゃ
こんなこと考えもしないのに

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白昼夢

あなたは確かに笑った
彼岸花のように紅くて
なまめかしい唇を歪めて

鮮明に覚えているのに
長くて艶やかな黒髪も
吸い込まれそうなあの瞳も
消えてしまいそうなくらい透き通った肌も

あなたはどこへ
行ってしまったの

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gazer

who it is that we are handled by
someone is gazing our trivial battle and struggle
riddle to me
we just huddle in the middle of the vast globe

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LOST MEMORIES CⅦⅩⅣ

妖孤のランクについてページを進めようとしていたところで望が来た。
「ごめんね、瑛瑠さん!」
図書室のため声は抑えているが、申し訳なさ全開の表情からそれは伝わる。
望は瑛瑠の隣に腰かけた。
「いえ、興味深いことがたくさん学べました。大丈夫ですよ。」
開かれたままのページを望は目で訊ねる。
見てもいい?
瑛瑠が差し出すと、心得顔になる。瑛瑠がほんの少し目を丸くする羽目になった。
「やっぱり、瑛瑠さんとちゃんと話さないと。」
ぽつりと零れるその声。
窓の外からは、色々な音が聴こえる。この声は、運動部だろうか。遠くでは、楽器の鳴る音が聴こえるような気がする。
それでも、静かなその声に耳を奪われる。
横にいる望と視線が交わる。目を逸らすことは叶わない。
「ぼくは、ワーウルフだ。」

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花占い

好き
嫌い
スキ
キライ
すき.....
きらい........

もうそんなことやめて
その摘んだ花一輪もって
つべこべ言わずに
大好きな人に会いに行けばいい

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題無し

この間、家を出ようとしたら、雨が降っていた。合羽を着なくっちゃ、鞄もゴミ袋に包んで濡れないようにしよう、駅から高校まで少し歩くから傘も持たなきゃ。そして約5分後。万全を期して僕は玄関の戸を開けた。雨は殆ど止んでいた。
「…お前、僕のこと嫌いだろ…」
と、僕は世界に向かって口の中で呟いた。

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このままずっと夜が続けばいいのに
そう嘆きながら
今日も逃げ続ける

昼間さえも
なにもかも
自分のものになればいいのに

いつもいつも同じことを嘆き続けて
そうして
はじめて私は生きていける

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 お花畑

幸せってなんだろうな
王子様とお姫様みたいにはいかないけどさ
あなたが隣にいると 世界がニカッと笑っていて
世界が僕ら二人だけを隔離している
お話のようなロマンチックな演出は
そんなには起こりはしないけど  
こんな平凡が僕にとっては
きっとそうなんだろうな

王子様とお姫様がたまたま美男美女だっただけでさ
王子様はお姫様が隣にいるだけできっとそれだけで
そこだけなら平凡なぼくと何ら変わりはないのかも

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No title

丁寧に包んだって
あなたはきっと乱暴に剥がすから
はじめから剥き出しの
ありのままの私を見てよ

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星巡りの詩

あのひとの命に終わりがあるように
あのひとの言葉は永遠ではないのかもしれない
抜け殻みたいな落書きに神様は宿らない

動物が、呼吸をすることがそんなに
しあわせなことだと思えないんだ
目を伏せて懺悔したきみの横顔
ひとり分の酸素が飽和した星で
辿った足跡の途切れる場所を探している

報われないことばかりだなにもかも
隣にいても触れられない近さで
きみのこといちばんに知っていたかった