寒いねって繋いだ手
抱きしめた肌の温もり
君の言葉
離れたくないって流れてしまった涙を
拭いてくれた大きい手。
本当に温かくて。
「ごめんね」と「ありがとう」しか
言えなかったけれど。
言いたいことは
言い忘れちゃったことは
このあと言いたくなったことは
また今度会ったときに言えるように
大事に取っておこうと思うよ。
遅くまでありがとう
笑顔をくれてありがとう
あったかい時間をありがとう
やっぱり僕が流してしまった涙は
幻ってことにできないかな?笑
でもね。
僕はもう大丈夫。
元気満タン
走り出すしかないよ。
今日貰った元気を燃料に
3週間なんて3日くらいのスピードで
駆け抜けるから。
その先で待っててね。
もし、しんどくなったときは
僕も君もちょっと休憩してさ。
それからまた走り出せたらいいと
思うんだ。
だから
「またね」
彼女は言った
いつかは終わってしまうのね
終わるから始まりがあるなんて言わないで
そんなありきたりな言葉で
私を慰めようとしないで、と
だから僕は言った
終わりを決めるのは
君自身だよ
君が諦めの悪い人間で
まだ終わってない、なんて
スポーツ漫画みたいなことを言ってれば
少なくとももう少しだけは
終わりが来るのも先だったかもね
すると彼女は言った
下らないね
僕が返す
うんくだらない
でもこの世界は
どっからどうみても
下らないから
彼女は納得したように
それもそうね
でもそれって
なんの慰めにもなってないから
僕は小さく笑った
テーブルの上のコーヒーが
小さく揺れた
九月も末。
「ただいま帰りました。」
「はい、お帰りなさい。」
チャールズにおかえりと微笑まれたのはちょっとぶりだった。いつにもまして華々しい。
「どうしてこうも私の周りは偏差値が高いんでしょうね。」
手を洗い、着替え、椅子に座り一言目。察したように苦笑を向けるチャールズは、大人の余裕というものだろうか。
今日の紅茶はアッサムティー。そして、一緒に置かれているのはストロープワッフルだ。
「今日の紅茶は味が濃いので、ぜひ一緒に。一応ミルクも置いておきますね。」
「……やっぱり高いと思うの。」
ぽとりと言葉を落とし、しかし隣のお菓子を見て目を輝かせる。その様子に、チャールズは目を細め、微笑んだ。
「キャラメルが溶けるまで、今日あったことでもお話ししてください。」
何かを感じ取ってか否か、そんなことを言う。省いていい部分と省きたい部分を考えて良い淀む。
その結果。
「明日、ヴァンパイアの方――霧英人さんとおっしゃるのだけれど、その方と少し出掛けてきます。」
星を見るたび
今日の終わりがくる
そして明るい太陽を見るたび
明日の始まりがくる
終わって始まる
変わらず繰り返される
人もまた同じく
終わりと始まりがある
全ての物は
生まれた時からそれを
背負って生きて行くのだ
今何してる! だなんて藪から棒にどうしたの
ちょっと電話出なよ! だなんて突然どうしたの
夜学に通い始めて5ヶ月
人と電話なんてしてる暇なかったから
久しぶりの電話で緊張する!
なんて私の気持ちは置いてけぼりで
電話に出るなりなんなり「よう。」って
相変わらずだね本当に笑えてきちゃうよ
2年ぶりの電話は、あの頃と変わらない大好きな声
その声がだいすきで特別で、
独り占めできるから電話するの好きだったなあ
ひとしきり話し終えたら口を開かなくなるところ
2年経っても変わらないね、うれしいなあ
手を引いてもらわないとまっすぐ歩けなかった私
支えてもらわないと電車に乗れなかった私
必ず2人じゃないとエレベーターに乗れなかった私
そんな私ももう21になるんだよ
1人で歩けるし、電車もエレベーターも乗れる
もう大人なのに、なんで君の前だと子供なんだろ
子供みたいに笑って、子供みたいに話して
君の声が聞こえただけで子供みたいにほころぶ
まだまだ大好きな君が変わらずいてくれて
とってもとっても嬉しかった
ふとキミが言った。
止まない雨もないけどさ
曇らない太陽も無いよね