常に自分が納得いく、美しいものが作れるわけではないけれど、誰になんと言われようとも、きっと自分は美しいものが作れると信じたいと思う。
コーヒーを口にした英人は元の表情。真剣ともいえるし、無表情ともいえる。
「君だから守らなければと思ったのに、当の本人には忘れられていたとはな。」
……拗ねている?
数々の、取りようによってはお節介にも当てはまる行動が、瑛瑠の脳内をフラッシュバックする。
望をワーウルフだと知り、瑛瑠を知っていたからこそ、はじめに忠告してくれた。あれは、瑛瑠が英人を知っていること前提での語りだったのだろうか。だから、自己紹介もなしのあんな物言いだったと。
よく知りもしない瑛瑠に、なぜ随身具なんていう大切なものを貸してくれたのだろうかと思ってはいたが、英人は知っていたのだ。瑛瑠がパプリエールで、10年来の守る存在だと。
「それをふまえての、“覚えてないのか”。」
そんな昔のことを。
そもそも自分たちは平行線だったのだ。持っている記憶が違う。分かり合えるはずがなかった。
生きるのが馬鹿みたいな世界だ
って思ってた
くだらない 面倒くさい 消えてなくなりたい
でも君はそんな世界を受け入れていた
今、に必死にしがみついて生きてた
だから今はそんな君が生きるこの世界が
好きで
好きで
好きで
好きで
好きで
仕方ない
笑っちゃう程単純だけれど
そんな単純なことが生きる意味になることも
あるんだ