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寄生

恐ろしい程に真っ赤な液体が

目から頬へ伝ってゆく

僕の悲痛な叫びなんてお構い無しに

君は僕を

食い散らかすの

乙女の姿した君は

僕の皮膚を食い破って

生き血を啜り

僕の四肢を引きちぎる

痛くてしょうがない

息ができない

それなのに

僕は君の

唯一無二になれないの

真っ赤な涙を流した

おぞましい姿の僕は

それでもまだ

君を憎めない

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天文学者、職場へ向かう。

朝家を出る時に
カイロ替わりに渡された
缶コーヒーで暖を取る
パキャッ って開けて
朝の喉にはちょっと痛い
熱を流し込みたい衝動に駆られたけれど
もう少し手を温めていることにした
きみの体温を思い出せる気がしたが
そんなことはないようで

帰るまでに立方体の牛乳でも買って
夜にでもコーヒー牛乳にして飲もうかな

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思い出した。今日は僕の誕生日だ。

だったら良い日にしなきゃ、と思う。でも無理に何もしなくても、きらきらの水たまりをのせたマンションの屋上に、朝の風。見渡す僕の街は まぶしくてまぶしくて、今日はもう良い日に違いなかった。

自分のために花でも買ってしまおうか。少し散財して欲しかったものを僕宛てに贈るなんてどうだろう。
でもやっぱり、誰かからのおめでとうが欲しいや。
そういえば、夢の国は誕生日に行くとみんなからおめでとうを言ってもらえる場所だという話を聞いたことがある。早速僕は新幹線と電車にのって、夢の国に向かった。

噂どおり、夢の国はみんながみんな夢の国にいることを楽しんでいる夢の国だった。現実を忘れることに、ちょっと必死なくらいに。
たくさんの人で溢れるパーク内を愉快な音楽と風船と夢が飛び交う。
とっても素敵なのに、不思議なことがひとつ。誰もおめでとうを言ってくれないのだ。

ふと隣でアトラクションの列に並んでいる少年を見ると、なにやら特別な名札をつけていた。名札はHAPPY BIRTHDAYの文字と、お馴染みのキャラクターたちで縁取られている。なるほど、あれがないと祝ってもらえないのか。

どこで名札をもらえるのか聞こうとしたとき、少年の手から、するりと風船が旅立つ。

あ。手をのばして、掴んだ!と思ったのに。風船の紐は僕の手をすり抜ける。追いかけていく少年も、僕の身体をすり抜けた。あれれ。

思い出した。僕は死んだんだった。