表示件数
0

親戚から

もらった三千円
こんどはバレないように
隠し通さねば

0

夜明けはオレンジ(ないしはムラサキ)

カペラとポルックスの輝度の違いを
距離と取るのか駆け引きと取るのか
或いは優しさと取るのか
そんなことを考えるうちに
星は星に飲まれて消えた
眠れない夜に つまらない詩人の
思考を飲み込む夜明けはオレンジ
あの子の朝とは色違い

0

愛なんて掌の雪の結晶のようなもの

0

朝の会話

「じいちゃんおはよう‼」
「おお、今日は早起きだな。おはよう」
「サンタ今日も来た?(12/26)」
「我が孫ながらがめついな」
「ほら、サンタってあわてんぼうだから。間違って今日も来てたり」
「アホか」
「ですよね。……、でもサンタってあれ親のこt……」
「あーあー、ゔゔん、ゔぇっほんげほっげほゔゔぁぁんん。じーちゃん何も聞いてない」
「……。無理はしないでね?」
「ゲホッ。それはそうと。早起きは三文の得と言うじゃろ。お前にいい話をしてやろう」
「いい話とは(哲学)」
「素直に聴いておれ、小賢しい」
「……お幾ら万円もらえるとかって話?」
「ゲスいわ」
「金が貯まる壺の話でしょ。気をつけてじいちゃん、それ詐欺」
「天下のじーちゃんが引っかかるわけ無いじゃろ」
「……蛇革の財布はノーカン?」
「ノーカン。ギリセーフ。ばあさんにはバラすなよ。漢の約束(物理)な」
「こないだ嬉々として話しちゃった(*ノω・*)テヘ」
「そろそろ寝ようかの。棺桶で」
「それで?なんの話?」
「じーちゃんもうヘトヘトなんですけど」
「流石に疲れんの速すぎだろww今いくつだよww」
「71歳です☆」
「あー……」
「聞いといて微妙な空気にするなよ。……あー、ほら。何話そうとしていたか忘れちまったわい」
「認知症かな?」
「医者にかかるか」
「ごめん悪かったからマジレスしないで」
「あ、一つ思い出した」
「お?」

――笑ってると健康になるんじゃと。

「うん。それ割と誰でも知ってる知識」
「冷静に突っ込むなよ。じーちゃん恥ずかしくなってくる」

0

マイペースなサンタクロース

流行りのリップに新作のコート
足と手に施したネイル
美容院でセットした髪型
今日こそはあなたの前で
高慢で我儘な女を演じきってやるから
褒められたくらいで赤くなったりしないから
覚悟しといてよ、ばか

0

Advent 12/25 side Su

「会場到着したよ! みんな、待ってるから、早く来てね!」
「18:20 既読済み」
コーンスープ缶片手に、スマホを眺めていたあたしは、ああ、もうすぐなんだな、と心の中でつぶやいた。
家に帰ってから、すぐに着替えて、駅に向かって、電車に乗り継ぎ乗り継ぎ、早数時間。会場の最寄り駅についたとき、もう、すぐに集合場所へ走っていきたかったけど、ちょっとお腹が空いたから、自販機でコーンスープ缶を買って、のんびり集合場所へ向かっているところ。
みんな、もう集まったかな?と考えると、自分だけ置いて行かれたような気がする。
だから、余裕で着くように今会場へと向かっている。
これは、バレー部員の頃からのクセ。そうでもしないと、顧問、怒るから。
(たぶんまだ、会場へ向かう電車の中って人もいるよね、絶対)
さっさと着いて、みんなを待とう。集まってく様子を見るのも、楽しいし。
気づけば、もう会場の入り口。集合場所のクリスマスツリーの下には―
(あー、あたしは、2番目なのか)
まぁいいさ。先に待っていたあの子に向かって、あたしは思いっきり手を振りながら、駆けだした。

0

Advent 12/25 side Y

いくら東京とはいえ、自分家の近所とはここはえらく違っていた。
とにかく人が多い。あと建物が多い。建物の規模も全然違う。
初めてクリスマスフェスに来た時、その何もかもに驚きっぱなしだった。
2回目だから、そこまで驚かないけれど、相変わらず人の多さには引いていた。
会場は混んでいるし、ついでに自分は道に迷いかけてるし…
せっかく手に入れたマップもなくしてしまって、もはや八方塞がり。
途方に暮れながらも、どうにか集合場所へ向かおうとあがいていると、
「…」
ふと視界に、見覚えのある人影がうつった。人影はすぐにどこかへ走り出そうとしたから、誰かまでは分からなかったけれど、そのときにぽとり、と帽子を落としていった。
「…これ」
手に取った帽子は、明らかに見覚えがあるものだった。でも、どこで…
「!!」
思い出した。これ、去年も拾ったんだよ。目の前で落としていったから。
そう、その持ち主は―
「あの」
考えるより前に、体が動いていた。
振り向いたその人は、僕を見て目を丸くしている。
「これ…!」
「あ!」
あちら側は興奮して叫んでいた。
「あのときの、あのときの…!」
「そうそうそうそうそう!」
「あ、でも待って、名前は…」
「え嘘、忘れた⁈」
想定外の事態。相手側が名前をド忘れしてるなんて、ちょっとひどい。あの6人の一人なのに⁈
「…名前は、」
「雪夜。」
よかった、思い出してくれたみたい。にしても、よく忘れてたな…
「早く行こっ!」
「もちろん!」

ラスト、書き込む側も大興奮です…(なんなんだ自分)

0

Advent 12/25 side I

混み合うクリスマスフェスの会場は、広い公園の一角だ。
イチゴは、たたたっと会場内を小走りで行く。
別に急いでいるわけじゃない。待ち合わせ時間もアバウト。
集合場所は、会場入り口のクリスマスツリーの下。
イチゴたちが、去年写真を撮った場所。彼が―参太が、集まろうって言った場所。
そこへ向かってるんだけど、
「ここどこ…?」
どうやら入る入口を間違えたみたいだった。クリスマスツリーがある入口じゃないほうから入ったよう。
「これじゃあ、間に合わないかもじゃん…」
思わずネガティブ発言。ダメダメイチゴ! まだ大丈夫!
そう自分を奮い立たせたとき、視界の端に知っている人物がうつり込んだような気がした。
「あ! 待って!」
イチゴはそう叫んでかけだした。でもほんの数秒後、後ろから呼び留められた。
「…あの!」
「?…!」
どうやら帽子を落としたのを、拾ってくれたらしい。でも驚くべきは、それを拾ったのは―
「あ、あの時の!」
思わずイチゴは叫んだ。

0

本当に?

写真に写るあなたはそんなにも可愛いですか?
化粧したあなたはそんなにも綺麗ですか?
あなたの鏡に映るあなたはそんなにも美しいですか?
優しく微笑むあなたは、
拗ねて頰をふくらますあなたは、
涙をながすあなたは、
照れて赤くなるあなたは、
そんなにも魅力的ですか?
あなたが考えるあなたはそんなにも完璧なひとですか?

では、
今私の目の前にいるあなたはいったいどうしてこんなにも醜いのでしょう?