汚い愛を拾ったら
隣の人には褒められて
汚い愛を歌ったら
誰かに刺さってしまったよ
本当の僕の声なんて
聞こえないくらい爆音の
恋恋恋が愛愛愛に
進化か、退化、もしくは激化
汚い愛を拾ったら
知らない人には褒められて
汚い愛を歌っても
君のイヤフォンには勝てないね
適わないよ
雨の音
聞こえると落ち着く
冷たくなんてない
あったかい
聞こえるだけで
「そこにいるよ」
って
優しく言ってくれてる
怒った声も
汚い声も
もう、聞こえない
かな
「好き」
は純粋に好きを言えた
女の子
「嫌い」
はたくさんのことを知って
苦いものも知った
女
美月視点
なんで、なんで?
なんでいつも私の邪魔するの?
なんでまた、あいつと会わなきゃいけないの?
なんで私の平和を奪うの?
二度とあいつには、橘春樹には、いや、川上春樹には二度と会いたくないのに。
ああ、私の人生にあいつさえいなければ、
こんなことにはならなかった。
【#5 TOGENKYO 終わり】
【#6 フィクサー に続く】
信じ切っていたひとに
あっさり裏切られて
あんまりあっさりしてるから涙もでてこない
でも
裏切られた傷は確かに残っていて
すべての表情が私のなかから消えてしまったように
どんな顔もできなくなった
それでも
どれだけ裏切られても傷つけられても
ひとを信じているのは
信じていたいと思っているのは
どうしてなんだろう?
パスタとビーフシチューを見て、男子ふたりが軽く顔をひきつらせるのを瑛瑠は見た。
「甘いものって言ったの、誰だっけ……?」
「夕食の時間なんてすぐだぞ。」
おやつの時間というには遅く、どちらかというと夕食に近いこの時間帯。だからこそ、甘い(軽い)ものにしようということなのだが。
「お腹がすいてしまいました。」
空腹には勝てなかった。
「夜ご飯もちゃんと食べるよ。」
瑛瑠が注文したのはプッタネスカ。トマトソースの酸味に唐辛子の辛味、アンチョビやオリーブの塩味が利いている刺激的なパスタである。
歌名が注文したのはビーフシチュー。しかしただのビーフシチューではなく、色鮮やかな蒸し野菜が眩しいそれは、いっそ野菜シチューといっても良いもので。
瑛瑠は美味しさに顔をほころばせていたが、ひとりでまわしているわりに随分とはやく提供されたことに疑問を感じるのだった。