「まぁ…ここ田舎だし、みんなここに集まっちゃうし…」
「これだから田舎は! もう…」
赤いウィンドブレーカーの少年 耀平はあきれ気味に呟き、ネロは地団駄を踏んだ。
その後ろにいる師郎は苦笑いするばかりだったし、黎は相変わらず沈黙し切っていた。
「…つか、なんでまた異能力者と一緒にいるの? 関わらない方がいいって言ったハズだよねぇ?」
ネロは怪訝そうにわたしの顔を覗き込む。
わたしはちょっとびっくりして思わず後ずさってしまったが、1つ自分の中で引っかかるものに気付いた。
「待って、どうしてセレンさんが異能力者ってこと知ってるの? もしかして、知り合い?」
さすがにそうだったら嫌だな~と思いながら、わたしは彼らに尋ねた。
「いや、別に、アタシはこの子達のことぜーんぜん知らないよ? てかこの子達が、キミが異能力を知るキッカケになった子達?」
セレンさんは明るく笑いながら言う。
「ちょ、お前ーーーっ! ボクらのこと人に話したな⁈ マジ許さ」
「待て待て待て」
自分たちのことを他の人に話されたことが癇に障ったのか、ネロはわたしに飛びかかろうとし、耀平はそんな彼女を慌ててなだめた。
みんなおかしいよ
黙ってるからって
黙ってたら
いろいろやってくれるからって
押し付けても抵抗しないからって
いつかノイジーマジョリティになってやるよ
テレビから芸能人のニュースが流れていつも思う
関係のないオトナたちが1人を責めているのを
おかしいなって漠然と。
結局は本人たちの問題だから首をつっこんで
とやかく言える訳がない。
もしも一般人が同じことをしても
知らないふりかもしれないのに
誰が悪い、なんて周りが決めることじゃない。
そこにマイクを差し込むことが、
そこにカメラを突きつけることが、
無粋なことだと、そうは思わないのか?
浮き上がるのは軽いもの
沈んでいくのは重いもの
この気持ちは沈んでいく
浮き上がらずに、人目につかずに。