「まぁ…ここ田舎だし、みんなここに集まっちゃうし…」
「これだから田舎は! もう…」
赤いウィンドブレーカーの少年 耀平はあきれ気味に呟き、ネロは地団駄を踏んだ。
その後ろにいる師郎は苦笑いするばかりだったし、黎は相変わらず沈黙し切っていた。
「…つか、なんでまた異能力者と一緒にいるの? 関わらない方がいいって言ったハズだよねぇ?」
ネロは怪訝そうにわたしの顔を覗き込む。
わたしはちょっとびっくりして思わず後ずさってしまったが、1つ自分の中で引っかかるものに気付いた。
「待って、どうしてセレンさんが異能力者ってこと知ってるの? もしかして、知り合い?」
さすがにそうだったら嫌だな~と思いながら、わたしは彼らに尋ねた。
「いや、別に、アタシはこの子達のことぜーんぜん知らないよ? てかこの子達が、キミが異能力を知るキッカケになった子達?」
セレンさんは明るく笑いながら言う。
「ちょ、お前ーーーっ! ボクらのこと人に話したな⁈ マジ許さ」
「待て待て待て」
自分たちのことを他の人に話されたことが癇に障ったのか、ネロはわたしに飛びかかろうとし、耀平はそんな彼女を慌ててなだめた。
みんなおかしいよ
黙ってるからって
黙ってたら
いろいろやってくれるからって
押し付けても抵抗しないからって
いつかノイジーマジョリティになってやるよ
テレビから芸能人のニュースが流れていつも思う
関係のないオトナたちが1人を責めているのを
おかしいなって漠然と。
結局は本人たちの問題だから首をつっこんで
とやかく言える訳がない。
もしも一般人が同じことをしても
知らないふりかもしれないのに
誰が悪い、なんて周りが決めることじゃない。
そこにマイクを差し込むことが、
そこにカメラを突きつけることが、
無粋なことだと、そうは思わないのか?
浮き上がるのは軽いもの
沈んでいくのは重いもの
この気持ちは沈んでいく
浮き上がらずに、人目につかずに。
可愛くなりたい…
鏡を見ても目を逸らさないくらいの
可愛い子と並んでも
引き立て役にならないくらいの
やだよ
あなたの隣にいる女の子が
あんなに可愛いなんて
「もうちょっとで元号が変わるな」
『令和、な』
「お前はなんて予想してた?」
『予想?そんなんしてねーよ。予想できちゃつまんねーだろ』
「…、、、元号変わったら令和生まれのやつに馬鹿にされんだろーな」
『無視すんなっ!……でも俺らは昭和町生まれの人を馬鹿にしてる訳じゃないんだから、そんなことないんじゃね?…というか、紙幣も変わるよな?』
「あー…な?誰かわかんねーけど」
『新美南吉じゃなかったっけ?』(違う)
「誰、それ」
『え…ごんぎつねの作者だよな?あれ…違った…?』
「違うんじゃね?…あー、うだうだしているうちに5年後には成人だよなー。信じられん」
『3年後の間違いだろ』
「はっ?俺ら、中3だろ?」
『ああ。んで、俺らの代から成人は18歳だろ』
「…っ!?…無理だ。俺、成人できないわ」
『そーだな。新美南吉も知らないんだもんなw』
「関係あんのか、それっ!?」
逸る鼓動と不規則な呼吸を飲み込み
はねた前髪は手で押さえつける
珍しくアイロンなんかかけたもんだから時間が無くて、お気に入りの靴は履いてこれなかったけど
うまく言えないかもしれないけど
聞いてほしいことがあるの
あのね、