現在法廷では、彼の刑についてまもなく判決が下されようとしているはずだ。極刑だろうな、とネロは思っていた。この国はそんなに甘くない。なめていたわけではないが、逃れられないことをしたのだ、受け入れるしかあるまい、そう思えるようになったのはつい最近だ。
あの「ティルダの怒り」から三週間。あと五日かそこらでこの年も終わってしまう。「年の日」の祭りには、何人かの罪人が恩赦を受けるというが、まあそれも自分にはないことだ。残り少ない己の命を、どうすることもできず持て余している。それが彼の現状だった。
ふと気がつくと、微かに牢獄の囚人たちのにぎやかな声が聞こえてきた。薄暗く時間感覚のないこの独房で、唯一日付が変わったことを知れる時だった。そのにぎやかな声の中、それとは逆にネロの瞼は次第に下がっていった。そして、久しぶりにこんな夢を見た。
ピタン。ピタン。
既に何の音もしなくなった惡獄層に、雨垂れの音が響く。規則性があるようでない、淡々としたリズムに、ネロは耳を澄ませながら、物思いに耽っていた。と、そこへ遠くから軍靴の音。
カツーン。カツーン。カツーン。
暫くして音が近づいたかと思うと、ネロの独房の扉の前で止まった。
ガンガンガンガン。ガンガンガンガン。
「No.2。起きてるか」
「............」
「開けるぞ」
甲高い音をたてて軋みながら、扉が開いた。看守の、この男は確か、オヴィアスと言ったか。その手には1枚のトレーが乗っていた。
「ボスはようやくお前さんの飯のことを思い出したようだ。さっき許可が出た。あまりがっつくと良くないからゆっくり食べろ」
「...............」
トレーの上に乗っていたのは、二つの乾いた細長いパンと、卵が1つ、水が一瓶だった。カタン、とトレーを床に置くと、オヴィアスはこちらに目を向け、暫く見つめた後、扉を閉めて去っていった。
看守が去ると、ネロはムクリと体を起こし、トレーに手を伸ばした。前回の食事の時よりパンが小さい気がするが、小さなソーセージから卵1つに変わっているのは正直嬉しかった。ネロはパンに手を伸ばすと、先程の看守の忠告など無かったかのように、あっという間に食べてしまった。卵を殻も剥かずに噛み砕き、一息に水を飲み乾した。小さくおくびをすると、ネロは再び体を横たえた。
もう三ヶ月もこんな日々が続いている。一日一度食事があれば良い方で、運が悪いと五日間飲まず食わずなんてあり得ない話ではない。その度に看守は、忘れていると言っているが、この間隔が計画的であることに、ネロは薄々気づいていた。まばらな間隔のせいで、空腹感が増したり、食事を抜く苦痛が酷くなったりするのだった。
それゆえに、下手に空腹にならないため、ネロは必然的に活動をしなくなっていった。常に寝てばかりいると、当然体は衰える。しかし食べないものだから体力を維持する力さえも得られなくなっていた。
ピタン。ピタン。
どこかで雨垂れの音が響いている。薄暗い闇のなかに、パタパタと虫のはばたく音が聞こえる。それ以外は全く静寂のなかだ。
ピタン。ピタン。
神聖トルフレア王国の王都ケンティライムには、都の中心に二つの大きな建物がそびえている。一つは王宮ケア・タンデラム城、そしてもう一つが、ケンティライム特別収容所だ。
収容所、と言えども、上階の殆どは治安維持本部や裁判所等で埋まっており、収容所としての役目を果たしているのは五階にまで及ぶ地下だ。その最も下にある地下五階は、凶悪な犯罪者が収容され、「惡獄層」と呼ばれていた。その惡獄層の奥にいくつかある独房の一部屋に、一人の少年がその身を横たえていた。
「No.2」と呼ばれるその少年は、二日の間何も食べず、また何も飲んでいなかった。華奢な体は薄い灰色の囚人服に包まれ、濡羽の前髪の奥の翠緑の瞳は、よりいっそう暗い輝きをたたえていた。
その少年の名は、ネロと言った。
「こらこらケンカしなーい。じゃないとアタシが能力使って周りの目集めるよ?」
「わ、それはちょっとやめてください」
「う…」
セレンさんのちょっと怖い発言に、わたしはまた後ずさり、ネロはちょっとうなだれた。
「…まぁ、話した相手が異能力者だっただけ良かった方だろ、な?」
耀平はそう言ってネロの肩を叩いたが、その直後に一瞬わたしに向けられた視線は痛かった。
そしてわたしは彼らに向き直り、さっきの質問をもう1度した。
「…すごい気になるんだけど、何でお互い初対面なのに、異能力者であることが分かるの?」
「それは…」
セレンさんがぽつりと口を開く。
「本能的に分かるの」
「へ?」
あまりにもシンプルな回答に、わたしの頭は真っ白になる。
「異能力者はね、気配で周りの異能力者が分かるんだ。説明するのは難しいけど…なんとなく、勘みたいなもので分かるの。あの人は異能力者だって」
花束が抱きしめられながら
雨にながされていく匂いがした
ゆっくりと朽ちて落ちていく音がした
愛を貪りながら
醜く枯れ果ててしまっても落ちることができないのは
醜いと知りながら散ることができないのは
神様の意地悪
俄雨はしとしとと紫陽花の嘆きを掻き消してゆく
桜の散る花びらを掴めれば
きっと幸運がやってくると
あなたはいつそう言っただろうか
はらりひらりと舞う花びらは
指の間を擦り抜けて落ちて行った
灰、左様なら。
「〇組の〇〇君ってかっこよくない?」
「△△君もイケてるよね!」
机の周りでそう騒ぐ女子共
よく恥ずかしげもなく言えるもんだなw
普通に男子がいる中で
もしかしたら本人もいるかもしれない空間で
堂々と言えるもんだ
あー…
アオハルしてぇ…
秘めた想い
遠い遠い あなたへ
届きますように
あの日のfirst love
今でも静かに激しく輝いてる
あなたが私の最初で最後の
Forever lovers
どうも皆さんこんばんは、コーラはペプシ派のmemento moriです。
さてさて、タイトルにもございます通り、ちょっとしたお知らせをば。
This is the way.再開します。
一月頃に第二章に入ったところで、多忙を言い訳に暫く中断しておりました。ですが、これ以上中断することはならない、と思いまして、やっとこさ重い腰を上げ、否重いペンを執り、否重いフリックを(以下略)再開することとなりました。
もし待っていてくださっていた方がいらっしゃったなら、本当に申し訳ありませんでした。はじめましての方も、第一章にあたるAhnest編はまとめの方に二つに分けて上げさせていただいておりますので、是非そちらをご覧いただけたらと思います。
僕も流れをすっかり忘れてしまったので、現時点で上げていた三話までを後程ここに上げ、明日より新話を上げさせていただくことになるかと思います。
もちろん私も受験生ですから、暇というわけではございません(そうだと良いのに)。ですから、頻度は必然的に低くなるかと思いますが、気長にあたたかく見守っていただけると幸いです。
というわけで、今後ともどうぞよろしくお願いします。
memento moriでした。
ポエムや小説を書くとき、参考にしてたり、自分に影響与えてるよなー、みたいな作家さんや作品や、ここの生徒っていますか?レスで回答お願いします。
結局他人のことなんてどうでもよくてさ
みんな自分の話しかしてないんだね
人の話に共感するのは自分の話を聞いてほしいからで、嫌われたくないからで、
だから他人の不幸はどうでもいいんだよね
他人の幸は憎いだけなんだよね
分かってるけどなんか寂しい
人を頼る時は裏切られる覚悟が必要
恋をする前に恋をしている自分に恋をしてないか確かめることが必要
本当に会話が成立してるか
絶対に理解されない感情を忘れていないか
孤独を忘れていないか
いつでも自分に聞いておかないと
他人のことなんてどうでもいい、寂しい人間にならないように。
不自然なほどサイクルが良い
仕組まれた様な日常に
少しの花粉が鼻をつつく
風が吹いて
木の葉が散って
すすっていたコーヒーに
苦さをのせて
哀れなほど笑った
痛み位僕にだってわかる
「今『も』って言ったよね?」
「はい」
「てことは、君、或いは君の知り合いが能力者であるってことだよな?」
「はい。私もそうですし、他に能力者の知り合いが四人います」
「マジか」
「マジです。今度紹介しましょう」
「マジで」
「マジです」
「そういえば、貴方ずいぶん色々やってましたけど。能力って一人に一つって暗黙のルールあるじゃないですか。一体どういう……」
ここで件の若者が突然視界から消えました。少し探すと、左の方の地面に突っ伏していました。右を見ると、あの不良たちが居りました。恐らく彼等に殴り飛ばされたか蹴り飛ばされたかしたのでしょう。以下、事の顛末。
不良A「ついに見つけたぞォクソッタレが!」
若者「……へ?」
不良A「クッソ、さっきは良くも邪魔してくれたなァおい?テメエ、ぶっ殺してやる!」
不良たち三人がかりで若者を殴る蹴る。
若者「あ、こら、くそ、ぎゃ、や、止め、うが」
不良たち、まだまだ殴る蹴る。若者、攻撃を受ける度何か言ってる。
不良A・B・C「おら!オラ!くそ!死ね!良くも邪魔しやがって!この!ウドの大木が!」
不良たち、意外と言葉知ってた。
若者「あ、ぎゃ、いや、ちょっ、待て、腹、腹はやめ」
まだまだ殴る蹴る。若者もまだ何故か平気そう。
不良s「オラ!くそ!死ね!死ね!死ねェッ!」
若者、ここでついにキレる。
若者「ぎゃ、あ、が、おま、えら、良い加減に、しろやああああああぁぁあッッ!!!」
不良たち、怯んで攻撃を止める。若者平気そうな顔で立ち上がる。
若者「お前らよォ……、年上に対して敬意ってものが足りてねえんじゃねえの……?学校や親は目上の人間は蹴るモンだと教えてたか……?違うよな…?」
不良たち、怯んでいて何も言えない。
若者「お前らみてーな社会の癌みてーな奴らはよォ……きっちりと裁かなくっちゃあいけねえよなァ……ン?」
不良たち、まだ硬直してる。
若者「えーっと……、お前。その真ん中の奴。お前がリーダーか?」
不良A「……は」
若者「返事はァッ!!イエスか!ノーか!」
不良A「は、はいぃ!その通りです!」
若者「あ?不良のリーダー?ふざけたこと誇ってんじゃねえぞ?」
不良A「いえ、別に誇っては…」
若者「口答えすんじゃねえ!!」
不良A「すいません!」
こんな醜い「好き」を
ゴミ箱から探し出してきて後生大事に持っている
嗚呼 こんな「好き」いらないけど手放せない
お風呂の排水溝に髪の毛ごと流してしまいたい
けど髪の毛のリンスの毛通りはそのままに
「好き」という感情ではもはやなくなった頭に
ケーキが詰め込まれ流れ行く
じゃあ正しい「好き」ってなんだろう
そう問いかけるも鏡の自分は何も答えない
鏡の中の「僕」はそんなに「好き」じゃないから
「…分かるわけ、ないのにね」
雨上がりの晴れた午後
電信柱に置かれた花束
その意味をまだ、私は知らない
誰かが涙を拭っている
私の声は届かない
覗き込んだ水溜まり
私の姿は映らない