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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 4.フェアリー ⑫

「不見崎(みずさき)さんは特殊な存在。常人なのに”異能力”の存在を知ってしまった、例外中の例外…そうでしょ?」
彼女は笑顔で言い放った。
「え、ちょっと待って、なんでそんな事知ってるの??」
わたしは困惑した。別に笛吹さんに何も言ってないのに…なぜわたしが”異能力の存在を知っている”人間だと気付いているのだろう。
「…もしかして、知り合いに―」
笛吹さんがこの事を知っているとなると、どう考えてもわたしが”異能力”を知るきっかけになった”彼ら”とつながっているとしか考えられなかった。
「ううん、誰かから聞いたっていうか、風の噂みたいなもので流れてきたの」
「え?」
予想外の答えに、わたしはちょっと力が抜けてしまった。
「異能力者には異能力者のコミュニティみたいなのがあるの。異能力者間で起こったゴタゴタとかを共有したり、お互い困った時とかに協力したりするんだ。
へ~、とわたしはうなづく。
「異能力者は特別多いってワケじゃないからね~ 何か、同類とか、仲間とかいた方が良いでしょ? 安心できるし。だからこういうコミュニティが出来たりするんだけどね」

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塗り絵

突き抜けるような青い空なんて
僕は大嫌い。だから、
白のペンキで塗り潰してやった

ほら、こっちの方が綺麗でしょ?

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いつもより赤く
いつもよりひりひりした跡
「嫉妬なんかしないよ」
って強がってたのに
別に付き合ってなんかないけど
暗い車の中で
泣きそうな顔の君と

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UFOの落ちた夏、再掲にあたって。

 ポエム掲示板の皆さま、いかがお過ごしでしょうか。
 もうすぐ来る夏に先駆けて、数年前に(私がまだ16歳のピーターパンだったころに)描いた夏のお話を掲載したいと思います。
 1週間程で終わるものと思われますが、来週、少しの間お付き合いいただけると嬉しいです。LOST MEMORIESみたいに長いものでも、設定がぎしぎしと音を立てるようなものでも決してございませんので、ゆるく読んでいただけるかなと思います。

 私がここで異端児でいた(少なからず、あの頃の私は異端児であったし、そうだったと誇りをもって思い続けています)きっかけともいえる作品を、少しの間、甦らせてあげてください。ちょっとだけリメイクされているかも、なんてね。

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LOST MEMORIES 447

 赤い鳥居。まっすぐに続いた道。道に沿うように続いた木々は青々としていて、続く道を薄暗くしていた。
「はい、ここです。」
 ここまで先導してくれた歌名が、立ち止まる。いかにもな神社である。
「英人さん、何か感じますか?」
 瑛瑠の問いに、難しい顔をした英人は、首を横に振った。
「何も。」
 ここではないようだ。
「場所が問題ではないのかもしれませんね……中へ進んでみましょう。」
 怖いもの知らずがここで発揮される瑛瑠。肝が据わっているというか、なんというか。
「ほんと、瑛瑠って変に怖いもの知らずだよね。」
 苦笑する歌名に、男子二人も同調する。
 なんだか不服であった瑛瑠は、
「怖いんですか?」
 なんてとんちんかんなことを言うのだった。

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スクラップアンドビルド

壊れっぱなしの夜
酔いどれの歌に泣いたりして
大袈裟に乱雑に切り裂いた
夜闇に低く鳴いたりして

俺は本当なら青空の彼方にいるはずなのに
ねぇ
君がそばにいりゃ、それでいいんだよ
誰もわかっちゃくれねぇけどさ。


ナンバーナイン その叙情に
ありったけ 言葉でつぎはいで
ナンバーなんかを盾にして
しみったれの心を隠す

ナンバープレート 君もそうかい
首ったけになるような 不幸を
ナンバーワンから持っていた
わけじゃないだろ

くだらねぇ星空なんかでないてやるもんかよ
君を胸に抱いて、その美しさに嗚咽したいんだ
いつでも心は清純で 穏やかに狂っていくようだ
ナンバーナイン お前なんてよ、スクラップにしてやるよ
また会おうぜ。

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世にも不思議な人々㉑ キタさん難受けるその3

で、どこまで話したっけ……ロバに乗って地雷原を突っ走ったところまでだっけ?あ!違う。これ別の話だった!
で、続きだけど。落ちてきた紙に書かれてた内容だよね。こんな感じ。
『これを読むに至った何処ぞの誰かさんへ
これを読んでいるということは、私の作った空間に入り、脱出できた能力者ということだろう。能力者しか入れないように空間を作ったのだから。さて、私がなぜこのようなことをしたのか教えよう。私はかつてただの路上でパントマイムを披露する芸人だった。それがある日突然不思議な能力を手に入れたのだ。しかもパントマイマーの私にぴったりの「パントマイムを現実に投影する」能力、というものだ。とはいえ、特にそれを使ってやることも無かったので、普段通り芸をやっていた。
そんなある日、私は大いなる意思により、死ななければならなくなった。しかし、せっかく能力を身に着けたのだ。その力と私の存在を少しもこの世に遺さずして死ねるだろうか。それでこの道を選んだのだ。少々驚いただろうが勘弁してくれ。誰だってこの世に産まれた意味というものを欲しいと思うのが道理だろう?
この空間は誰かが脱出すると消滅するようになっている。それを恨まぬわけでは無いが、これは言うなれば幽霊みたいなものだ。しがない一人の男の残留思念だ。これで成仏できるのだ。それについては心から感謝する。
最後に私の能力を紹介しておく。
 能力発動時の楽曲 からくりピエロ
 能力 パントマイムを現実に投影する能力。
私をこの世から開放してくれた君に幸あれ。』
こういうことだ。つまり、あのマイマーは……いや、止めよう。きっと僕の能力と彼の思いが変に影響し合っただけなのだ。
しかし、大いなる意思ねぇ…。確かに、『童謡』じゃあないからなぁ。作者は無情である。

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non title

まてまてぃか苦手なら
アララギ派はいりなよ
増し増しの現実に
あきたならさよならさ

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大切な人に書いた詩

嫌なことがあるたびに
君のその声を思い出す、
あの時の君との会話を脳内でリピート再生する。
それだけで強くなれた気がして、
近くに居るかのように、君を感じている。

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肉眼ではぐにゃぐにゃに歪んでばかり見えていたきみが
欠けたビー玉を通したら真っ直ぐに立っていて
涙がでた

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憧憬

校舎の屋根に君が片足で立ってこっちへ来る

夕焼けの向こうに行けるのをずっと待っていた

そのまま付いて行ったらあの晴れた日々に戻れるだろうか

ただ今は切なく愛おしいだけだ