確かに、「異能力者は普通少ない」って、セレンさんも言ってたっけ。
笛吹さんはさらに続ける。
「まぁ…この街は普通よりちょっと異能力者が多いんだけどね。その分、情報とかはが伝わるスピードが速いし…あと、いわゆる”情報屋”みたいなのもいるから」
「”情報屋”…?」
わたしは思わず彼女の言葉を繰り返す。
「そういう感じのだね、その人は。寿々谷で起こった異能力にまつわる情報を、勝手に集めて他の異能力者に教えたりするんだ。もちろん、教えてもらうには、それ相応の”代価”が必要だけど」
彼女は階段を1段、トンっと下りた。
「”異能力”のことを知ってしまった常人がいるって言うのは皆がチラチラ言ってたから知ってたけど、名前はその人から教えてもらったんだ~。…そしたらビックリ、まさかそれは後ろの席の人だったとはね」
そう言って笛吹さんはわたしに笑いかける。
わたしは終始笑顔でいる彼女の話を聞きながら、ふと疑問が浮かんだ。
―なぜ”情報屋”は、わたしの名前を知っているのだろう。
「”異能力”を知ってしまった常人がいる」ことは、”彼ら”が周りに喋って噂になってもおかしくない。…でも、本名まで言うだろうか?
第一、わたしの名前を知っている異能力者は、あの4人と駅前で路上ライブをしているあの人ぐらいしかいない。
”情報屋”はわたしが今までに出会った異能力者たちなのか、それとも―
でも今は
そんなことはどうでもいいの
ただいつもより少し高い
あなたの体温がわかること
めずらしく息があがってること
見たことのない余裕のない表情
僕はそれだけでじゅうぶんなんだよ
雨の降る中を
鳴る警報機に焦らされ
走り抜けた私は
なんだかすこし
センチメンタル
最後の言葉は
なんだったかな
眠ってた手紙を開いて
また 思い出す
「愚痴でも悩みでも何でもいいんだよ、何かあったら言ってね、僕は君の支えになりたいんだ」
積み上げたモノが一夜にして崩れ去っても、再び積み上げる。生き続けることは、そういうこと。
あなたの好きな人は誰?
なんてきいてやんないもん
あなたの恋愛成就なんて
願いたくないの
愛も憎しみも、論理的にものごとを考える能力を失わせてしまうという点において差はない。だから争いはなくならないのである。
いなくなったりしないよね
と、確かめることが
あなたにとって苦痛なら
私は黙っていられるのかな
人は、終わりがあるから生きている。
小さいところで言えば、1時間目。
少し大きいところで言えば、午前中。
もう少し大きいところで言えば、1日。
もっと大きいところで言えば、1学期。
もーっと大きいところで言えば、1年。
1番大きいところで言えば、人生。
人は、楽しい事も辛いことも、
終わりがあるから
楽しかったり辛かったりする。
だから、私は今日を生きる。