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シネマ

灰色のスクリーンは
もう二度と甦らない
くしゃくしゃになったチケットと
叶わなかったあの日の約束

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自分勝手

嫌われる前に嫌いになるし
好かれる前に好きになるよ
決めるのはいつだって僕だ

世界中で大流行してようが
誰も見向きもしなかろうが
気に食わなければ気に食わないし
気に入ったなら気に入るよ

君が君を嫌いでも
君が君の敵になっても

決めるのはいつだって僕だ

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勘違いしちゃいけないのは
私はあなたの恋人ではないってこと。

けど、
じゃあなんでキスなんてするの?

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泣きたい夜は夏の夜。

 
蒸し暑い街の大気に比して
震えてしまうほどの部屋の中。
空調の電源を入れっぱなしにしてしまった、
私自身も消耗しているから溜め息。

近頃の世の中は絶望にうもれているような、
と感じるのはただ私が不幸せなだけか。
外ではいつのまにか始まる花火大会の音
でも
この部屋からは見えないし見る気もない。

コンビニで買ってきた夕食を尻目に
財布の中身を数える日々。
いつか観たがったドラマの最終回も
今日はなんだかそんな気になれない。

「もう疲れた…」

ベッドに身を投げた
その反動かはわからないけど、
こぼれだした涙は拭わない。

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UFOの落ちた夏(2)

 大きさは軽自動車くらい。……やはり、UFOには宇宙人が乗っているのだろうか。
 私は、頭でっかちで大きい目を持つ、いわゆるヒューマノイドという宇宙人を想像して、扉が開くのを待った。
 しかし、扉は開かないどころか、中から物音すら聞こえない。さっぱり訳の分からない物体に、私は好奇心をくすぐられた。縁側から裸足で外に出て、UFOに近寄った。しばらくは観察だけに留めておいたのだが、あまりにも何も起こらないので、つい触ってしまう。
 ……ひんやりとしている。夏の日差しに当たっていた温度には思えなかった。

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未定

 何もない。そう、
 何も無かったんだ。
 只、普通に、淡々として
 いたんだ。
 傷つくことも知らない
 ように。
 明日も、私は、ごく普通に
 明日を過ごすだろう。
 私にとって、それが、
 自分らしくいれる、
 
 一番の方法だから。
 
 明日も明後日も、
 いつになっても、
 
 私は、自分自身を責め続けるでしょう。

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天体観測

あなたも見ていますか?
今夜の月を。
そう、少し特別、紅く色付いて。

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父の日

あなたを父親と言っていいのか
なんだかほんとは迷い中の私で
だけどあなたはそれでいい様で
だけど父親というには優しくて
私を気にかけてくれるあなたは
やはり父親なのでしょうかね?

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UFOの落ちた夏(1)

 UFOが、庭に落ちてきた。テレビや本の挿絵でよく見るような形のアレ。
 私は、唖然としてしまった。

 夏休み真っただ中、外からは鬱陶しいくらいの蝉の大合唱が聞こえる。私は祖母の家にいて、暑さのあまり居間でへばっていた。うちわ片手に仰向けとなり、花の女子高生と呼ぶには随分と苦しい、あられもない姿。
 そんな感じでごろごろしているときに、ガンというかゴンというか、そんな低くて鈍い、金属がぶつかるような音がした。
 気になったので庭へ出てみると、一般的にUFOと呼ばれるような形をした物体が落ちていた、というわけである。

続く

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信じるだけで

ありもしない事は
ありうるかもしれない
夢に
変わる