「う…」
「亜理那アンタねぇ…」
あまりにシンプルというか、彼女らしい発言にわたしは言葉を失い、鷲尾さんはあきれたように呟きかけた。
だが亜理那は目の前の状況を気にせず、さらにわたしに向き直った。
「というワケでサヤカ! その人たち紹介して!」
「ちょ、ちょっと待って…」
亜理那の切り替えの早さについていけず、わたしは一度彼女にストップをかけた。
わたしが異能力を知るキッカケになった人達が知りたいのは分かるが、会いたいって言うのは正直想定外だ。
まぁ、彼女の性格を考えるとそこまでおかしくないかもしれないけど。
だけど、なんか紹介しようとは思えない。
ぶっちゃけ”彼ら”を亜理那に会わせたら、わたしの方に色々面倒な事が降りかかりそうだし。
なんとなく危なっかしいからよしたいなぁ…とわたしは自分の中で呟いた。
「…でもさ亜理那」
わたしが色々考えてる中、不意に鷲尾さんが呟いた。
「不見崎(みずさき)さんに人紹介してもらうんなら、私をここに呼ぶ必要なくない?」
震えていた
灯りを消した部屋の隅で
その表情に一切の色は無く
あったのは
真っ直ぐな 汚れなき 一筋の涙だけ
キタ「いやー、久し振りに登場ですよ」
初「僕はちょっと前にちらっと出たけど」
真琴「いやマジで久し振りだよ俺らは」
キタ「まあ、今回はこの作品で二番目に強い能力者について考察するわけなんだが」
真琴「何故二番目?普通こういうのは最強を考察するものじゃないのか?」
キタ「いやー、それについては作者公認で万能ちゃんが居りますからねー……」
初「あれか」
真琴「あれじゃあしょうがねえや」
キタ「まず候補をあげてみるか。まずは作者がNo.2だと正式に認めてる伏見君だろ」
初「誰それ」
真琴「チャチャさんのことだ」
初「ああ、あの人か」
キタ「次に阿蘇さん。人外モードの時はパワーもスピードも上がって細切れになっても再生するとか」
初「何それ強い。結構良い勝負だな」
キタ「他には、呪術使いの前橋つくばちゃんとかもいたな」
真琴「誰だそれ知らない」
キタ「僕らとはまだ会ってないからね」
初「群馬なのか茨城なのかはっきりして欲しい名前だ」
真琴「そうだ。素のフィジカルだけならあいつも負けてないんじゃあないか?ほら、通り魔のなっちゃん」
キタ「君からそんな言い方が出てくるとは」
真琴「う、うるせー!」
初「確かに彼女もすごいよな」
キタ「あとは、持久力のあいつ。大男。名前はまだ無い」
初「え、嘘、あいつも能力者なのか。この間会ったけどそんな素振り……あったな。すごい深い切り傷作って平気な顔してたわ」
キタ「さて、誰が最強かな」
真琴「なおこの中で最強になっても二番目は揺るがない模様」
初「やっぱりこの中じゃ最古参のチャチャさんを推したいな。一番縁深いし」
キタ「けどあの人呪いに勝てるか?」
真琴「有り得そうなのがなぁ。あの人なら何かどうにかできそう」
初「そうそう、底が見えない」
キタ「僕としては人外の阿蘇さんを推すな。あの人、なのか?姿がもう強キャラだもん」
初「それこそ呪いに勝てるか?」
真琴「逆にあの姿が呪いっぽい」
キタ「まあ結論は個人に任せるってことで」
真琴「終わり方雑だな」
ベッドで寝てる 抜け殻に
火をつけて 部屋を出た
俺は無理やり 扉を蹴飛ばした
酔いどれが嫌いでさ
朝日が好きなんだ
健康的なシュミだろ ねぇテネシー
貴方の黒いの弾かしてよ
46万なんて 持ってねぇし
名前の書いてある シリアルナンバー
穴の広がっちまった ストラップ
シンクで寝てる 赤い皿
いちごのジャムがついてる
鳥も鳴いてくれないわけさ
夜更けは嫌いでさ
夜明けが好きなんだ
でも明日なんていらないんだぜ ヘンだろ テネシー
あのこに黒いの聴かしてよ
シビレちゃうんじゃない?
もしもそうなら 俺はやっぱり
あのこ 大好きだ。間違いない
ポップコーンは好きさ
バターのかかったの
でも ママは取り上げるから そんなもんでいいのさ
ねぇ テネシー ねぇテネシー
貴方の黒いの弾かしてよ
46万なんて 持ってねぇし
名前の書いてある シリアルナンバー
穴の広がっちまった ストラップ
頬に流れたのは青い涙
傘に隠れた私の泣き顔は
誰にも気づかれないまま
いつのまにか真っ白になってる
冷たくなった手のひらをひとりで握りしめて
なんにも考えないように
ぼうっと空をみてる
幸せを知った人間
どんどん弱くなる
欲に塗れて
小さな事にも
幸せを感じなくなる
ほんのちょっとの事にも
幸せと感じれるのが
ほんとの幸せ
まん丸が見たい
半分は嫌だ
ちょっと欠けても嫌
まん丸が見たい
まん丸が見たかった
幕が上がった時
私に見えたのは黒だった
ああそうだ
私が塗った私の色は
全て隠れる黒なんだ
何も見えない黒なんだ
気づいた時にはもう遅い
ちょっと世界を揺らしてみた
少し見えた気がしたんだ
とっても眩しいお月様
まぁ、この街は異能力者が多いって言うから、前々から知ってる人が異能力者ってことも全くおかしくないのかもしれない。
「…にしてもさ、亜理那」
2人の会話がひとまず済んだのか、鷲尾さんが真剣な顔で尋ねる。
「何で私に不見崎(みずさき)さんを会わせたの?」
「あっ確かに!」
鷲尾さんの疑問に、わたしもそう思った、とわたしは同調する。
「…えっとねぇ、それはね…」
わたし達の質問に亜理那はちょっと意味深に笑いながら答える。
「サヤカに、”サヤカが異能力を知るキッカケになった人達”を紹介してもらうため」
「は⁈」
予想外の彼女の返答に、わたしは近くの廊下に聞こえてしまうかもしれないような声で叫んだ。
「な、何でそんな事を…」
鷲尾さんもあまりの衝撃に絶句している。
「いや何でって…」
驚くわたし達を見ながら亜理那は申し訳なさそうに言う。
「単純に気になったからいいじゃん」