こちらはRNテトモンよ永遠に!さんのハブアウィル次元である。とある男女の双子が一つ目小僧君をヨニヒト次元に飛ばした後の話である。
「……よし、これでお仕事終了ってわけだ」
「しっかし兄上もなかなか酷いことをするねぇ。人一人この次元から消し飛ばすなんて」
「いやお前兄上なんて言うキャラじゃ無いだろ。それに、お前のせいで他次元に飛ばすだけになってるわけで、お前の邪魔が無きゃあいつは完全に消せてたんだからな」
「だからー、そういうところが物騒なんだってば兄さん。私が居なきゃやってることただの殺人だからね?」
「知ったことか。異端は消えて然るべきだ。ってか『兄さん』呼びもお前のキャラじゃねえだろ」
「特大のブーメランですが」
「次元の番人なんだ。多少は許されるさ」
「自称だけどね」
「で、お前はさっきから何をこそこそと見てるんだ?出て来いよ」
物陰から出てきたのは、ニタニタ笑いを顔に貼り付けた何とも不気味な少年だった。年の頃は十代後半といったところだろうか。
「いやー、お久しぶりですねー『ヤタガラス』、それに『マリア』」
「おー、つい三日前にも会ったけどな」
『ヤタガラス』と呼ばれた男子の方が答える。目はまるで金属のように銀色に輝いている。
「貴方はいつも『久しぶり』と言いますよね」
『マリア』も言う。こちらの目の光り方は太陽光のように真っ白だ。
「いやいや、この私にゃあ三日も十日も花薄荷も関係無いんでね」
「いや今一個関係無いのあったぞ、『ヌエ』」
どうやらニタニタ笑いの少年は『ヌエ』と云うらしい。
「個人的にはチェシャ猫の方が良かったんだけどねぇ。ほら僕っていつもニタニタ笑ってるじゃない?」
一人称がいつの間にか『僕』になっている。
お腹空いたなと家に帰っても
蒸し暑い部屋が待っているだけで
冷蔵庫を開けてみても食べていいものが分かんなくって
麦茶をコップに移したら次にお湯を沸かして棚からカップ麺1つ
今日も昨日も一昨日もいつも同じ
会いたくなくて死んでしまいそうな夜だ
煤けた靴紐にひっかかったままの合言葉
ふとした時に思い出すのが想いびとなら
さみしさでできた輪郭をなぞったみたい
きみに繋がるすべてが街になってしまう
深夜に駆け込んだ牛丼屋さんの看板とか
どこかへ帰りたい気持ちをかかえたまま
ベッドに沈んできのうの夢に浮かぶふり
名前のないわたしを小説だけが見ていた
きみと寝ていたソファーベッドの
間に指を入れてみたけど
あつくもぬるくもない温度
ぼくにあったのはきみに振られる才能
そこにあったのは意味を欲しがる愛情
昨日の今日で連絡なんて
さすがにどうかしている 指が動いてる
文面はできても送信ができない
寂しさに同化している好きが
いつまでたっても見つからないよ