気づいてた
私はそこに居ないことに
ただ、ただ人の優しさに
温もりに
触れてしまったから
勘違いが積み重なり
気づいてない
ふりをしていた
心の穴に奈落に
落ちていく
独り言だった。だから、涼花は何も言わなかった。
「それから、部活と全然関係ないことも話すようになったかな。って言っても、中学生の1年生と3年生なんてすごい壁があったから、とりたてて特別な話もなかったんだけどね」
「先輩はそれから悔しさをばねに勉強したりしました?」
私は笑う。
「そこまでの原動力になってくれればよかったけどね。生憎、なんで悔しかったのかもわからない後輩だったからさ。それでも、夏休みが明けた後のテストは頑張ったな。そうは言っても、できる子はやってるから、あまり上がらなくてね、順位は9位だった」
「例の先輩の言っていたこと達成ですね」
涼花は少し語気に力が入っている。そんな彼女に笑いかける。
「でも、先輩は1位だった。また、すごいとは言われなかった。あの人にとっては、すごくはなかったんだと今だから思うけどね」
なんだか少し不満そうに見える涼花も、何も言わないところを見ると、一応納得はしているようだ。
「先輩と、部活とは全然関係ないことも話すようになったってさっき言ったよね。先輩、彼女についても話すようになったんだ。
ピンポンパンポーン
世界中の皆さん、こんにちは。
こちら、地球の平和を取り戻すためやってきた者です。
ご挨拶はこのくらいにして。
今現在の正直な気持ちを言わせていただきます。
私は、この星の、位の高い方から招かれました。
馬鹿馬鹿しい!!
なにが、「平和を取り戻してくれ」ですか。
この星には、平和を祈っている方々はたくさんいます。
でも、それが叶っていないところがある。
それはなぜか。
簡単です。私を招き入れた方が、心から平和を求めていないだけです。
住民からの好感度を上げるために平和を祈るふりをしているのです。
みなさん。
あなた方の、平和を祈る気持ちを全て集めれば
政治家の権力なんて足元にも及びません。
戦争を恐れ、平和を愛し、愛情を尊重するあなた方が団結すれば
この世界は、笑顔と愛で満ち溢れたものとなることでしょう
それでは。
ピンポンパンポーン
がんばるって決めたんだけど
どうがんばるかも見失って
もう君と離れるのかもとか考えるの
すごくこわいのに
君が楽しい話がわからないから
なにも言えずにただ泣いてるなんて弱虫
「そう、言ってもらえなかったんだ。驕っていたなあ……へえ、やるじゃんって言われたんだよね。そのとき、たぶん私、ハトが豆鉄砲食らったような顔をしていたんだと思う。2年生の先輩が、この先輩凄いんだよって。学年1位なんだよってさ。で、その例の先輩が、次は10位以内だなって言ったんだ」
私は少し目を伏せた。意識的ではない、そうなってしまっただけ。思い出しているだけ。
「私、本当に、ただ勉強していただけだったの。もちろん100点を取りたいとは思っていたけれど、何位以内に入りたいとか考えたこともなかった。特別勉強しなきゃと思ったこともなかった。でも、やるじゃんって言われたのが悔しかった」
言葉にして初めて思う。
「私、先輩にすごいって言ってもらいたかったんだな」
独り言だった。
口癖のように口笛のように死にたいを繰り返してここまで来てしまった、ずっと生きたいまま。涙が出るから眠るよ。ぬるくなった湯船だけがあなたが憎いことを憶えていてわたしは、朝になって剥ぎ取られるすべてから空っぽのプレゼントを守ろうとしていた。やわくひかる、あの翅に口づけてもいいですか。目が覚めることがこんなに怖くていとおしいこと、いつ知るのが正解でしたか。