電柱のわきでつむじ風
ツノの生えた夜の端っこ
遮断機のメロディにあわせて
赤 黒 赤 黒
微笑むダンサー in the dark
人にやさしくなれたら
ぼくはおとなになれたのだろうか
おとながなにかも分からないから
子どものままでいたがるの。
人に好きだと言えたら
僕はパパになれたのだろうか
知らない愛のかたちで
子どもを愛せたのだろうか
かくごもないまま生きるから
ぼくは死んでゆくのだろうか
それでもあのロックスターより
長生きしているのはなんでだろう
とうに50を超えたが
ぼくはいまだに子どもなのだ
上目づかいで空をみる。
「ねえ、おじいさん」
リアムに呼ばれ、上げた顔にある二つの瞳は、何度泣いたのか赤く腫れており、そして、曇っていた。
「おじいさんだよね?メイドのお父さんて」
「メイド……シェリルのことか⁉シェリルは無事なのか⁉」
鍵でかちゃかちゃと音を立てながら、リアムは答える。
「うーん、そんな名前なの?おうさまのことだから、たぶんそのおじょうさん無事だよ。はい、どーぞ。」
開いた扉に、信じられなさそうな目で見つめる老人。
「本当に……?」
「うん。とりあえず出たら?」
恐る恐る、といったように牢から出る老人は、依然夢を見ているかのようである。他の囚人の刺すような目にも関わらず道を進み、ついに外に出た。
「とりあえずおじいさんはこのローブを着て、この木の陰にでも隠れてて。その服じゃ目立つし、脱獄騒ぎを起こされても困るから」
「しかし__」
「俺はこれから、おうさまを狙った人のこと、殺しに行くからさ」
老人の言葉を遮ったリアムは、屈託のない笑顔で応えた。
あなたと関われるのが僕の幸せです。
ありがとう。大嫌い。
こんなにも僕をときめかせて。
ほんとにありがとう。
ほんとにほんとに大好き。
まっしろなシーツがはためく
春の丘のうえで
おおきな犬とたわむれて
くるくるわらう少年
そのはるか遠くで
おとなたちの身勝手な争いにまきこまれて
うすい空のしたで
まっかなおいしいりんごがたべたい
それだけ言って目をとじた少年
ふたりはおなじ年のおなじ日に生まれた
「実は魔法使えるんだ」
にやり、八重歯の彼女は言う
「実は僕も」
と言ってみた、そんな二人の帰り道
それは主人公の何かのきっかけ
雨と虹の中間の空を横切った流星
雪と雷の中間のマクガフィン
友情と愛情の中間の君
バレンタインと三時のおやつの中間に
きっと主人公は愛と嘘の中間を君にいだくだろう
手を伸ばせばまだ 夜だから
君が見た夢まではまだ4時間くらいあるじゃない
理屈に理屈を重ねて守るのは誰でもなく自分で
脆い鎧を纏って 荒野を進む
明日はまだ来ない