だれにも知られたくないです
きみにも、ぼくにも、あいつにも。
けれど 自分が知らないと名前がつかないもの
それをひみつと、呼ぶらしい。
ひとさし指を口にあて
ニヤリと笑えばそれはもう
ひみつと、呼ぶらしい。
ひみつ 一つすら守れないきみは
大人になれなくて
ぼくに嫌われていく
あいつにも嫌われていく
だからきみは悟ったらしい
人に話してしまうと
ひみつ は ひみつ ではなくなるらしい。
それを、ひみつと呼ぶらしい。
これも、きみのひみつらしい。
4月の入学式のクラス写真
真ん中あたりにいる にこにこ顔の君
その5つ隣に ぎこちない笑顔の私
まだ何も知らなかった頃の二人
まだお互いを知らなかった頃の二人
ほら、あそこに
高く
高く
飛んでいる雲雀
散歩道の土手
髪を触る風
春は今ここに居る
バラバラになった
変わってしまった
ガキの頃の友情
あれは本物だったのか
変わってしまった
自分が知るもの
知る場所
そして自分自身も
変わらないものは存在するのか
君の泣いた顔を観るのが辛かったから
君を泣かせたのが僕なのが怖かったから
君のいる場所から逃げたくなった
君の心を無視して笑顔を繕った
でもだめだめだった
ねえ、なんでこんなことになったんだろうね
僕は君の笑顔が好きだったんだ
自分らしく生きなさい 周りに合わせなさい
失敗を恐れず挑戦しなさい 責任はとりなさい
正直者でありなさい 必要ならば嘘をつきなさい
自分の意思を持ちなさい 人の意見を聞きなさい
命を大切にしなさい 命をかけてやりなさい
大人の言う事を聞きなさい 子どもらしくありなさい
笑って過ごしなさい 笑顔でいなさい
そうやってちょっとずつ大人になっていく
皆の声が聞きたいな
今深い夜の中
私の周りはかえるの大合唱
可愛いな 元気だな
でも
皆に会えない私
迫る運命の日への準備が出来てなくて
焦るばかり
皆はどうしてるかな
教室に響く笑い声を聞きたい
楽しい話を
皆それぞれの声を聞きたいな
先生の授業もなんだか恋しいな
思いっきり歌えない私
唯一の仲間の君と歌いたいよ
小さな声楽部
新しい部員は入ったかな
これからもっと歌いたい
何もなく引退してしまうんじゃないかな
美しい響きを
二人の声を重ねたいな
新しい曲にも出会いたいな
色んな声を聞ける日を
楽しみに 信じて
今 できることをしよう
夏と春が混ざりあって溶けた夕暮れに
烏が1羽飛んでいった
そよよそよよ木の葉の音が
君の声のように聴こえる
どっかの家の風鈴がちりり
やけに夏を早く取り込んだおうちだね
ふわふわと飛んでく蝶々を眺め
ぼんやり君のこと思い出してた
ゆっくり暗くなってく夜空
日が長くなったね