今日もいつもの窓辺に座っていた。
『今日は暑いな。』
「いや、ホントだよ〜。暑すぎ。」
私は第一ボタンを開けた制服のシャツをぱふぱふしながら答える。
『いきなり夏になったな。』
「雲もさ、夏の雲してるんだよ(笑)。濃いい影なんてつけてさ。」
『夏の雲は特徴的だからな(笑)。』
「う〜ん、クラスマッチが面倒くさいくらいだよ(笑)。日焼けしそ〜。」
私は遠くを眺めるように仕草をつける。
『ん(笑)?どこ見てんだ?』
「いやさ、あの山の向こうに太陽沈んでくんないかなって(笑)。」
『クラスマッチはお昼だから真上だな。』
「う〜ん、ボイコットしよっかな(笑)。」
『誰と?』
「先生と?」
『どこで?』
「先生の部屋で?」
『何するの?』
「魔法見せてもらう?」
『なんで全部はてなで返すんだよ(笑)。』
「いや、ほんとにボイコットしないもん(笑)。唯一楽しい行事じゃん。」
私はニコッと笑って見せる。
『確かに動いてるときは楽しそうだもんな(笑)。』
「動くとストレス発散になるのよ(笑)。まぁ、発散しながら溜まってるんだけど(笑)。」
先生は頭をポンとする。
「まてっ!!!汗かいてる!!!!」
先生は笑うとほっぺをプニッとする。
「ねぇ、そこも汗かいてるでしょ?」
『ここではありのままの君でいいんだ。』
「ねぇ、汗ダクダクの中言うことじゃないから(笑)。」
『しょうがないだろ?夏なんだから。』
「そうだけど〜。……うわっ、アル来たぞ。」
“いや、来たら駄目か?”
「暑苦しい!!!!!」
私達は3人揃った暑苦しい中、アルが売店で買ってきたアイスを口にいれた。
アルがいない間に、私達は《二人の秘密》の時間を共有していた。
次はどんな秘密になるのか楽しみにしながら、最後の一口を放り込んだ。
コップいっぱいに愛を注いでも、
まだ足りない、あとちょっと
加減がよくわからなくて
とうとう、溢れてしまった。
それなのに、どんどん愛は注がれて、
どうしたら良いのかな?
始まりから始まるとも限らず
終わりが終わりだとも限らず
むしろ何かが終わってようやく始まり
始まったはずなのに終わっていたりする
誰もが待ち焦がれた夏の匂いは
僕にとっては終わりの香りで
くすぶる思い出と燃えかすの後悔と
今まさに燃え盛る記憶を見つめる
だめだよ、そんな所にいちゃ
煙を吸い込んでしまうよ
僕がそう言うのに君は
頑なに動こうとしないから
仕方なく僕も隣に座り込んで
クラクラするような煙を
胸いっぱいに吸い込んで
むせた
思い出は消えていくのに
記憶は僕のかかとを掴んで
いつまでも離れずに
引きずられながら着いてくる
どうせ忘れてしまうんだもの
そう未来の僕に期待して
忘れてもいいような日々を
泣きそうになりながら
吐きそうになりながら
今日もまた這いずって
東から昇る夜と邂逅する
ようやく夜がくる
生や死や好や嫌や愛や恋
どうしようもないもの
この世の現象
そんなもの
みんな馬鹿にして笑うけど
本気だよ。
君にも伝わってほしいの
日が沈んでいる中、彷徨うままたどり着いた街は、夏祭りをしていた。
そのままぷらぷらと屋台を見て歩く。浴衣を着た人とすれ違う。呼び込みの威勢のいい声と食べ物を親にねだる声、何か当選したのか喜び声がする。目に様々な色の灯りが映る。聞き飽きた盆踊り唄が流れている。
気づけばお祭りを通り過ぎ、ひっそりと暗いところに立っていた。
その先に、小さな屋台のようなものがあった。惹かれるままに屋台まで歩く。看板には「さよなら売り」と書かれていた。屋台の主はいなかった。屋台の中はもぬけの殻だった。
「さよならが欲しいですか」
声がする。
「500円です」
異世界のように聴いたこともないものを売っているくせに値段だけはちゃんとする。好奇心に逆らえずに500円玉を差し出した。
手のひらの500円玉は消え、代わりに小さな丸い玉が手のひらで光っていた。
何だこれ、としげしげと眺める。
瞬間、目の前がぼやけた。
午前深夜 光る手元 心を埋める人
君からのメッセージに点滅する恋の音
静寂なこの夜に私の想いが聞こえないように
閑静なこの夜に僕の願いが聞こえないように
愛を今 夜に架けて
心を溶かして結わせて
静かな宇宙の中で
月を抱く 君と
夢で行ったコンビニで買ったミルク味のデニッシュ
午前3時 君を起こさないための大嘘つき
今耳元で流れ続ける
コール音が途切れる
その瞬間を待ってる
ずっと
初めて電話をかけた
震える指で君の元へ
この電波を送ってる
届け
コール音は無機質で
君出ないんじゃって
嫌なこと考えちゃう
ふと
コール音が途切れた
しばらく無音が続く
つい画面を凝視する
えっと…
通話中になっている
相手は君になってる
君の声が、聞こえた
どうしたの
勇気を振りしぼって
君に聞こえるように
恥ずかしがらずに、
言おう
好きです