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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 7.サイレントレイヴン ④

「ねぇ黎」
わたしの発言で彼らの視線が一気にこちらへ集まる。
「この間会った時、どこかに行ってたの?」
「…」
黎の視線が静かにわたしからそれた。
「だって手ぶらだったから…」
「おいおい、そういうの100%この人は答えないぞ」
わたしのセリフを遮るように耀平が突っ込む。
「え、別に良いじゃんそれ位…」
わたしは気にせず会話を続けようとしたが、急に黎が口を開いた。
「別にどうでも良くない?」
少し間が空いてからの返答だったから、わたしはビックリして、え、としか言えなかった。
「…そもそも話す気ねぇし」
お前とは特に、と黎は続ける。
その一言にわたしは凍り付いた。

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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 7.サイレントレイヴン ③

「何も話さなかったって、コイツとならよくある事だよ」
「それな、ってか黎はお前さんと関わる気ゼロだぜ」
耀平と師郎は苦笑する。
「…黎、コイツに会ったの?」
ネロがそう尋ねると、黎はまぁ、とうなずいた。
「会ったのかー」
まーでも面倒事に巻き込まれてなきゃいっか、とネロは黎の隣に座り込む。
「め、面倒事って…」
「お前がいると大概面倒な事が巻き起こるからだよ」
わたしの呟きに対して、耀平はムスッとした顔で答える。
「そりゃね、大体全ての事の発端はアンタだし」
ネロはわたしの方を指さして言った。
「いや若干ネロも絡んでるだろ」
「うぐっ」
師郎にそう突っ込まれて、ネロはうろたえた。
そんな彼らを見ながら、わたしはふとこの間の事を思い出した。