ぬるい風に撫でられて、
ほのかな色を揺らがせる。
彼の想いに蓋をして、
彼の涙を隠しては、
微かな嗚咽も匿った。
そして今日も、
淡い夕日を傾ける。
願っているうちに遠のいていくから
どうかとりあえず今にいさせて
君は水平線
あの太陽はいじめっ子
だって、君が赤に染まる
全会一致 死刑判決
花は咲き乱れ、
鳥は高く唄う
ファンタジーになった昨日を
殺した貴方に告ぐ
ハジメマシテなんて実は無い
明日なんて今の使い回し
通り魔だって愛されていたんだ
そんなら君にもできるハズさ
今は手を叩いて笑う
足掻いたって何も変わらない
絶望が飼い慣らす
被害者代表、窓辺から乗り出して
大好きだ、大好きだ、大好きだ、世界が
大好きだ、大好きだ、大好きだ、君が
大嫌いだ、大嫌いだ、大嫌いだ、世界が
大嫌いだ、大嫌いだ、大嫌いだ、僕が
「そもそも黎は人と関わりたがらないし」
そうなの?とわたしは聞き返す。
「ボクらにも何でだか分からないけど、黎は人と関わるのが嫌いっぽい」
…そーだよね、とネロは黎の方を見やる。
黎は恥ずかしそうにちょっとうなずいた。
「過去に何かあったのかもしれないけど…ボク達が知る領域でもないし」
ネロの発言を聞いて、わたしはふと思った事を口に出した。
「ネロの能力でその辺分かったりしない?」
ネロは嫌そうな顔をした。
「…いや、それはちょっと」
どうして?と聞くと、ネロはだってさ、と呟く。
「友達の記憶は無闇に見るものじゃないし…」
ネロは続ける。
「それが原因で相手のトラウマを掘り返したら悪いし」
確かに、とわたしはうなずく。
トラウマや嫌な記憶を知られるのは弱点を晒すようなものだ。
それに、知られる側も傷つくだろうし。
「だから、ボクは友達の記憶を無理に漁らない」
それがボクの流儀だし、とネロは言った。
「ネロはネコ好きだもんな」
耀平はネロの頭を撫でながら言う。
「ロヴィンがいなくなったって聞いて、おれ達も探すの手伝ったし」
異能力を使ってな、と耀平は付け足す。
「でも全然見つからなかったから、一時はどうなるかと思ったよ」
とりあえず見つかって良かった、とネロは笑った。
わたしは目の前の状況にぽかんとしてしまった。
これって事情聴取じゃなかったっけ?
「…そう言えば事情聴取は?」
「あ、そう言えば」
ネロはハッとしたように向き直った。
「…それでさ、何で黎に関わられたくないって言われたのさ?」
ネロにそう聞かれて、わたしはうーんと唸った。
正直な所、なぜ関わりたくないと言われたのかは分からない。
ネコが好きなのかと聞いたら、聞く必要ある?と言われちゃったし。
「…よく分からない」
「まぁそんなもんだろうね」
わたしの答えに対して、ネロはそう呟く。