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桜の木が鮮やかになってきた
毎年同じ景色だけどやっぱりなんか新鮮だな
いつのまにか春の香りがして
どんな出会いがあるんだろう

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人間失格

「人間失格」

そう言われたなら
いっそ異形の者になってしまえ

“人間”の型にあてはまらず
自由に生きていこうじゃないか

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「私に構わないで」
言いたくて仕方なかった
「近づかないで」
抱きしめられる度に思った
「知ろうとしないで」
訊かれる毎に願った

構ってほしかった
近づきたかった
知りたかった
全部 全部 ほんとだけど
今は違う 

怖くて どうしようもなくて
君の昨日の言葉を反芻して
また一人で夜に溺れてく

『中身のない人は苦手
 自分を持ってる人は素敵だと思う』

私はどうなんだろう
君の想うような人なんだろうか
構われる程
抱きしめられる度
訊かれる毎
「私はそんなんじゃない」って

現実を知って
いまを突きつけられて
つらくなって
でも君を嫌いにはなれなくて

まだ迷子です

私を早く見つけて、お願い、私

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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 8.イービルウルフ ⑮

「…」
その後も何度も歩いては振り向き、歩いては振り向き…を繰り返していたが、別に何も起きなかった。
「…」
ずっと何かの気配がついて来るのは、不気味で仕方ない。
わたしは嫌になって思わず走り出した。
すると気配もわたしに合わせてついて来る。
「何なのよ…」
そう呟いた時、背後で誰かが芝生に倒れ込むような音がした。
わたしは思わず振り向く。
「!」
わたしの数メートル後方で、複雑に髪を結った少女が倒れていた。
「…え?」
意外な人物だったので、わたしは近付きながらついそんな声を上げてしまった。
少女はゆっくりと立ち上がる。
「バレてしまったわね」
少女はそう言ってスカートに付いた汚れを払った。

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クラス替え

足が思うように動かない朝
知りたいけど知りたくないんだ
私の1年間がかかってるんだ
年に一度のクラス替え
あの子と同じクラスじゃなかったら
私はどうなってしまうのだろう
きっと生きていけないだろうな
ほんとに頼むよ
勉強、部活頑張るから
同じクラスにしてください

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音楽の力

再生ボタンを押す
あの人の歌声がイヤホンから流れてくる
辛い思いも、悲しい気持ちも包みこんでくれる
音楽の力ってすごいなぁ
そう思いながら、歌声に聴き惚れる日々

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生まれつき不良品の私はどうしたらいいですか

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新生活

春からの新生活
ご飯が美味しい素敵な下宿に入った
おばちゃんは優しくて面白いし
下宿のみんなもあったかい

なのに、それなのに
私はどうしても、馴染めない
何でだろうなぁ、もっとちゃんとできるって
楽しくなるぞって思ってたのに
頑張って 空回って 無理して
馬鹿みたいだ

一人って
こんなにつまんなかったっけ
こんなに苦しかったっけ
おかしいな なんでかな

まだまだこれからなのに
ちゃんとできるのかな
ちゃんと話せるのかな
不安で涙も出るけれど

深呼吸をひとつして、
一歩、進めるように、笑えるように
頑張らなきゃ

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今日から

4月に入って以来
かつての仲間がバラバラに
それぞれのスタートを切っていく
前には誰かいて後ろにも誰かいる
だから人の波に呑まれながらもどこか安心してる

でも暦はお構い無しに正確な時を告げる

4月最初の月曜日
自分を取り囲む世界が一斉にスタートを切る
ここでの初めの1歩は差が残酷に露にされる
そこでは前と後ろに雲泥の差が生まれる
だから他人の波に呑まれながらどこか焦りを感じる

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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 8.イービルウルフ ⑭

「…」
皆が散ってから暫く、わたしは公園の片隅でぼーっとしていた。
と言うのも、対決の見張り役とは言えやる事がないのだ。
あの2人は異能力で化けているし、ほかの3人もどっかに行ってしまったから、どこにいるか分からない。
正直、わたしには手元のスマホを見たり、ぼんやりする事ぐらいしかやる事がないのだ。
退屈だな…と手元のスマホを見ていると、ふと気配を感じた。
ちら、と周囲を見回すが、辺りにはいつもと変わらない公園の風景が広がるだけ。
特におかしい所は見当たらない。
何だろう、と思いながらわたしは歩き出した。
実際、この気配はさっきから何度も経験しているから、少し慣れつつあるのだけど。
それでもこの気配は少し気になった。
「…」
ぱっ、と急に振り返ってみる。
しかし、背後には何の変哲もない公園の風景があるだけ。
特に誰かがつけて来ているという訳でもないみたいだ。